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アウトライナーで幸せになる [アウトライナー]

去年の今頃は、パワーポイントをまともに使うことさえできなくて、新人研修の課題のプレゼン資料を手書きで作ってた入社2年目の女の子が、パワーポイントで見事な打ち合わせ用資料を作ってるのをみてすごく関心した(この子は本当に優秀)。でも、だからこそ、その労力って本当に必要なものなんだろうか、ということが気になってしまう。その、パワーポイントで見事な資料を作るということについて。

パワーポイントの弊害というのは、いろんな人が指摘しているけど、実際には「パワポ使い」はワープロ以上の必須スキルになってしまっている(中にはパワポがあるのに何でワードが必要なの? と言い放つ人までいる。あたかもワープロは過去のもので、パワポがそれに取って代わったかのように)。

ぼくの職場でも、プレゼンはもちろん、会議や打ち合わせの席で使う資料作成にパワーポイントを多用するけれど(それどころか、企画書から報告書まで、何にでも)、そもそもはプレゼンテーションのためのソフトだ。たとえば企画を提案したり報告をしたりするような、伝えるべき内容が決まっていて、それ分かりやすく、理解しやすく伝えることが重要な場面で使う、というのならわかる。でも、通常の会議や打ち合わせに使おうとした場合、メリットよりもデメリットの方が多いような気がする。

単なる会議や打ち合わせ用の資料でも、パワーポイントだと、どうしてもビジュアル的にそれなりのクオリティのあるものを作ろうとしてしまうから、資料の準備に時間がかかる。内容は最初から決まってるのに、デザインを決めるのに時間を喰ったりする。その割に、プロジェクターで壁に写してみても、会議のメモはハンドアウトの紙に書き込み、後でそれを見ながら思い出し思い出し議事録を作ったりする。パワーと時間を食われる割には、このビジュアル資料、本当は必要ないんじゃないか? という疑いがぬぐえない。

会議や打ち合わせの資料を作るためのソフトのあり方というのは、もっと別にあるはずだ。たとえば、今でも打ち合わせのような場でのカジュアルな用途に最適のソフトはちゃんとある。もちろん、アウトライナーのことだ。

(ここでいうアウトライナーは、特に限定はないけれど、シングルペイン型のものを想定している。パワーポイントが入ったパソコンがあるなら、当然ワードも入っているだろうから、ワードのアウトラインモードがいちばん手軽に使える)。



会議や打ち合わせの際のアウトライナーの使い方の例。

まず、その日の会議のアジェンダをアウトラインとして作成しておく。それをプロジェクターで映しておけば、今日、全体として何を話し合う予定なのかが理解できる。アウトラインは折りたたむことができるから、今話している部分は全て展開して細かく表示し、他の部分は概要だけ見えるようにする、など状況に応じて表示をコントロールできる。

もしビジュアルな図解や表組みが必要だったら、別ファイルで作っておけばいい。アウトライナーによっては、アウトライン上の文字列から別のファイルにリンクを張る機能を持っているから、必要なところでクリックすれば、図解が表示される。もちろんネット上の資料に対してもリンクを張ることができる。たとえリンク機能がなくても、ファイルの2つや3つ、手動で開けばいい。

それよりも、テキスト形式のアウトラインを作成する時間は、細かいデザインやビジュアルに拘泥しない分、はるかに短くてすむことの方が重要だ。

さらに、会議中・会議後にもメリットがある。アウトライン形式であれば、スライドの割付や細かいデザインに制限されないから、議事の進行に合わせてアジェンダのヘッドラインの下に結果を打ち込んでいくことができる。リアルタイムに近く、「何が話されてきたか」を確認することができるから、脱線したときの軌道修正も簡単だ。議事は必ずしもアジェンダの通りに進行するものじゃないけれど、アウトライナーなら出てくる話を取り合えずどんどん打ち込んでいって、あとから簡単に所定の場所に移動できる。

何よりもいいのは、それがそのまま議事録になることだ。会議や打ち合わせの場での人間同士の会話というのは支離滅裂なものだし、「では、これから今日の結論を話します」とか、「今から今日のミーティングの最も重要なポイントへと入ります」なんていう進み方はしない。その中できちんとポイントを抽出してまとめるというのは、実は相当に難しいし、しんどい。アウトラインの中にリアルタイムでひたすら打ち込んでいく方が、はるかに楽にキャッチできるし、全体の中での位置づけも、アウトライン上で把握しやすい。だからこの議事録は、半ば自動的にできてしまう議事録にも関わらず、後からメモを見ながら作成する議事録よりも質が高くなるし、実際に使えるものになる。

本当の意味でのプレゼンテーションは別にして、会議や打ち合わせにノートパソコンとプロジェクターを持ち込むなら、パワーポイントの代わりにアウトライナーを使うことで、いろんな意味で幸せになれるはずだ。



浮いた時間はデートに使おう。

ちなみに、マックの名作アウトライナーMOREを、会議の現場で使う様子を示した文書をRenji Talkで訳しているので、興味のある方はどうぞ。
→ アウトライナーとの出会い
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