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ソフト開発≒政治? [Diary]

デイヴ・ワイナーが、ある若いソフトウェア開発者へのアドバイスとして、こんなことを書いていました(その若い開発者は、17歳で既にFacebook用のアプリケーションを開発・販売して相当な額のお金を稼いだということです)。

1. 自分自身がユーザーであること。自分にとって役に立つソフトを開発すること。君自身がユーザーとしての感覚を持っていないのなら、製品をどのように発展させていくべきか、知りようがない。そして次の「2」で学ぶことになるものごとを、理解できることもないだろう。

2. ユーザーの声に耳を傾けること。コードの書き方を学ぶことは簡単だ。熟達するには時間がかかるけれども、ユーザーの声に耳を傾ける技術を身に付けることに較べれば、そう難しいことではない。 —中略— これは、ユーザーが君を動かすという意味ではない。君は君自身の創造性によって動くべきだ。ただ、ユーザーの声は君のすることの根拠にはなるべきだ。ユーザーとのつながり無しには、その製品は目的を持たないことになる。
(原文:An hour with Jeff Jarvisより)



多くのソフトやWEBサービスなどに感じる「なんかモヤモヤした、いやーな感じ」があります。ぼくは素人なんで、技術やビジネスモデルに関して偉そうなことを言う資格はないんですが、どうしても感じてしまう、「あんたたちは、本当に自分でこのソフトやサービスがいいと思ってるのか?」といいたくなるような、あの感じ。以前Renji Talkでも書いたことがありますが、人に何かをすすめられるとき「ぼくはこれがすごく好きなんだけど、君もどう?」と言われるのではなく、「君はどうせこういうのが好きなんだろ?」と言われるような、あの感じ。それはおそらく、上の「1」が欠けていることに起因するんだと思います。

デジタルステージの平野社長が、同社の最新作『LiFE* with PhotoCinema3』の開発の動機について「自分の子供が生まれるから、それにふさわしいフォトムービーソフトを作りたかった」というようなことを書いていました。まさに自身がユーザーであり、自身にとって役に立つソフトを開発してるわけです。デジタルステージは、日本有数の「志のある」ソフトメーカーだと思うけど、それは開発のモチベーションを常に「個人」に置いているからじゃないかと思います。

ワイナー自身にしても、作ってきたソフト(ThinkTank、MORE、Frontierなど)には確かにワイナー個人の自己の強い投影があり、ソフトを使うことで、個人としてのワイナーへの共感を生むようなところがあります。それもやはり、彼自身が欲しいソフトだからでしょう(ワイナーは自分でMORE3を7年間使い続けたと書いていました)。

今泉さんのマンダラートだってそうです。



逆に、志は痛いほど感じるんだけど、商業的にうまくいかなくて消えていってしまうソフトというものも(たくさん)あります。ワイナーの理論でいけば、こういうのはたぶん「2」の部分がうまくいっていないんでしょう。

でも、「2」は本当に難しいと思います。もともと良かったソフトが「ユーザーの声」とやらを採り入れてバージョンアップしていくうちに、どんどん輝きを失っていくということがある。たとえばかつては志を感じるソフトだったMicrosoft Wordの今の姿(たぶんWordが良いソフトと言えたのは、個人的にはWord95までだと思う)。ユーザーの声を聞くということは、一歩間違うと「ユーザーはこんなものでいいだろう」とか「こんな風にしておけば喜ぶだろう」という方向に行ってしまうものなのかもしれません。ワイナーの表現を借りれば、そういうソフトは「ユーザーが君を動かして」しまった結果ということになる(説得力があります)。だけど、ユーザーの声を無視した製品が良くなるはずもないわけで。



で、この話は何かに似てるな、とずっと思ってたんですけど。
さっきわかりました。
「政治家」と「国民の声」の関係に似てるんだ。



ためしに、ワイナーの文章の言葉をちょっと変えてみました。

1. 自分自身が国民であること。自分にとって役に立つ政策を立案すること。君自身が国民としての感覚を持っていないのなら、政策をどのように発展させていくべきか、知りようがない。そして次の「2」で学ぶことになるものごとを、理解できることもないだろう。

2. 国民の声に耳を傾けること。政治手法を学ぶことは簡単だ。熟達するには時間がかかるけれども、国民の声に耳を傾ける技術を身に付けることに較べれば、そう難しいことではない。 —中略— これは、国民が君を動かすという意味ではない。君は君自身の創造性によって動くべきだ。ただ、国民の声は君のすることの根拠にはなるべきだ。国民とのつながり無しには、その政策は目的を持たないことになる。

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