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ひとり旅は素敵。 [Thoughts]

同僚(女子)がオランダひとり旅を計画していて、その話を友だちにしたら「そんなのすぐ寂しくなるよ」と言われたらしい。

でも「すぐ寂しくなる」というのはそれはたぶんその通りだけど、寂しくなるのがひとり旅の目的だと個人的には思います。

ひとりで知らない街を歩いていて、この風景を誰かに見せたいと思ったりここで起こったことを誰かに話したいと思ったりすることは、誰かと歩くよりももっと、誰かに近づくようなところがあります。

だから、ひとり旅は素敵です。

オランダといえば、昔(今数えたら15年以上前)一人でアムステルダムの街を歩いていて、トラムを待っていた停留所で隣り合った日本人の女の子と方向が同じだったことが判明し、「じゃあ」ということで一日アムステルダムを歩いたことがあります。

「要するにナンパね?」と人には言われるけど、たぶん違うと思う。なぜなら最後まで名前も連絡先もきかなかったし、ゆきずりのセックス(笑)もしなかったから。ナンパというものをしたことがないので、ナンパの解釈が間違ってるかもしれませんが。

ふたりでライクスミュージアムとゴッホ美術館を回って花市をみて飾り窓ものぞいて怪しげな中東風カフェでチャイを飲んで最後はテイクアウトのコーヒーを飲みながら公園のベンチに座って話して、夕方「じゃ、がんばって」と言って手を振って別れた。それだけ。

でも、短時間ですごくいろんな話をしました。

ゴッホの話(ふたりとも旅行中にゴッホ美術館に何回も通っていた)とか。
マックの話(ふたりともマックユーザーだった)とか。
アメリカの話(彼女はアメリカ留学から戻ったところで、ぼくは子供の頃アメリカに住んでいた。しかも彼女の留学先のバークレイとぼくのいたサンフランシスコは隣町みたいなもの)とか。
仕事の話(ぼくは会社を辞めて大学院に入ったばかりで、彼女は広島のテレビ局に就職が決まったばかりだった)とか。
恋愛の話(彼女は恋人をアメリカに置いてきていて、ぼくは遠距離恋愛になりかかっていた)とか。

二人ともいろいろ煮詰まっていて、そして、たぶんものすごく寂しくて誰かと話をしたかったけど、でも同時にその時はひとりで考えることがすごく必要でもあって。そうしてひとりで歩きながら考えたことを、偶然会った日本人に対してぶちまけたような感じでした。

ぶちまけた内容はびっくりするくらいよく似ていて、そこには団体旅行で意気投合するのとも、ナンパが成功するのとも違う、不思議な連帯感のようなものがあった。その会話は間違いなくその後の人生に(少しだけ)影響を与えたと思います。たぶん、名前や住所を聞いていたら、そうはならなかった。

変かもしれませんが、彼女も自分のことを同じように覚えてるはずだという確信がぼくにはあります。

そういうこともたぶん、誰かと行く旅行では起こらないことです。
タグ: 時間
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