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Get Off of My Cloud [Diary]

知り合いが職場でEvernoteへのアクセスが禁止されたといってショックを受けていました。ぼく自身は、Evernoteどっぷりというわけではありませんが、それでもいろいろと考えさせられます。

Evernoteだけでなく、いわゆるクラウドサービスの利用を禁止している企業は多いと思います(ぼくの職場でも、たぶん禁止されてるはずです)。セキュリティ上の理由で仕方ないということは、もちろん理解できるし、それを否定するつもりはありません。

でも、こういう企業が、こうしたソフトやサービスが次々に生まれている背景や理由に対して、きちんと向き合ったことがあるのだろうか、と思うわけです。そこには、仕事の現場で扱う情報の量とスピードが、個人で処理できる限界をはるかに超えているという現実があり、それに対して身を守らなければならない、という切実なニーズがあるはずです。

端的にそのことを示しているのが、21世紀に入って登場し、急激に受け入れられていったデビッド・アレンのGTDであり、そこから触発されたいわゆるライフハックとそのためのアプリの数々です。ここ数年は、特にiPhoneの登場を契機として、iPhoneとクラウドサービスを連動させた関連ソフトが多数誕生しています。

Evernoteは、その代表的なもののひとつです。GTDではなく、個人のノートやメモを管理するためのソフトですが、必要なあらゆるものを片っ端から記録して、後から検索できるようにする、という基本的な思想は、GTDの強い影響下にあります。

Evernoteのすごいところは、たとえばiPhoneで書き込んだメモが、何もしなくてもウェブ上のクラウドサービスと同期され、どのパソコンからでも読めるようになること。逆にパソコンからWEB版(やデスクトップ版)に書き込んだメモは、何も意識しなくてもiPhoneを開けばちゃんとそこに入っています。テキストだけじゃなくて、写真やボイスメモでも同じことができます。

気がついたことも思いついたことも忘れちゃいけないことも、すべて放り込んでおけば、必要なときに検索すればいつでも見つけることができる、というのが、いかに精神の安定に役立つかは、現代のホワイトカラーなら、誰もが納得すると思います。

一企業の製品にそんなに依存しちゃっていいのか、という疑念は当然あるわけですが、それは置いておいて、こうしたソフトの登場は、基本的に正しいことだと思います。

なぜなら「パーソナル」なコンピューター(あるいは情報機器)は、本来人を助けてくれるはずのものだし、そのために使うべきものだからです。

「パソコン」=「パーソナル・コンピューター」が個人を守るのためには使われず、人を管理するためだけに使われる、という状況に対して、ぼくらはもっと声を上げるべきなのです。

Evernoteの利用を禁止するというとき、情報の洪水に人間がすり潰されるような環境から社員が身を守る術を奪い取っているという自覚と認識を、企業は持つべきです。企業がその術を提供するというなら別ですが、そうではないことがほとんどです。

それは本来、簡単に禁止して済ませられる問題じゃないのです。

本日のテーマ曲:
Get Off of My Cloud
by The Rolling Stones

俺はどなった
おい、お前!
俺のクラウドから出て行け
二人分の場所はない
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