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気持ちよくしてくれる道具 [Thoughts]

しばらく前、「エフォートレス・ライフ」を訳していて、なんかここのところおっくうだよなー、と思って停滞してたんだけど、よく考えるとどうもScrivenerがしっくり来ないのだということに気がついた。

長文を訳すとき、パートごとに細かくバージョン管理ができるScrivenerはとても便利で、「フォーカス」のときから使ってるんだけど、どうもキーボードからの入力に対する画面の反応がしっくり来ない。

動作が遅いとかそういうことではなく(ぜんぜん遅くない)、すごく微妙な感覚なんで一般化はできないし、Scrivenerが良くないということでは全く無いんだけど(むしろScrivenerはとても志を感じるソフトで好き)。

とにかく気持ちよさが足りないと思ったんで、「フォーカス」のときに最終段階で使ったPagesを最初から使うことにしたら、途端に作業が進み始めた。

Pagesは決して動作が速いソフトではないけど、文字を打ち込んでいって、段落が画面上に形成されていくときの文字の動きの感じがすごく気持ちよくて、その気持ちよさに引っ張られて作業が進む。

ついでに言えば、Wordではぐちゃぐちゃになってしまって、事実上使い物にならないアウトラインとスタイルの連動部分のインターフェイスが実にシンプルに作られている。Pagesは文章書きの道具として、もう少し評価されてもいいと思う。



「道具なんか何を使っても変わらない」という人がいるけど、そういう人は個人的にあんまり信用できない。とまでは言わないけど。

その人は音楽家に対して「楽器なんか何を使っても同じだ」と言うんだろうか。あるいは野球選手に「グラブなんか何を使っても同じだ」と言うんだろうか。

気持ちがいいときに、人はいちばん力を出すことができる。そもそも「快感」という機能自体が人間を目的に向かってドライブさせるためにあるわけだよね。

(性的な快感は子孫を残す行動へのモチベーションだし、味覚は本来は生きるために必要な食べ物を判別するための機能なはず)

道具の目的が、人間の能力を増幅するためのものだとすれば、使っていて快感があるというのは、いちばん重要な要素だ。

だからキーボードの叩き心地や、画面上の動作の微妙な「気持ち良さ」や画面に表示されるフォントの美しさには、頭で考える以上に意味がある。マックでいえば、OPALJeditは確かにその道具としての条件を満たしてると思う(そして今回の一件でPagesを入れてもいい)。

もちろん自分にとって何が気持ちいいかというのは個人差があるから、本当は道具というものは自分で選べなければならない。

その意味では特定の「道具」を強制するしかない、今の職場や学校でのコンピューターのあり方は、とても愚かなものだと思う。


そしてそして、今ひとつEvernoteがしっくり来ないのも、たぶんそのことと無関係ではない。あ、それからFacebookも。
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