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アウトライナーによるFluid(流れるような)ライティング [アウトライナー]

少し前のデイブ・ワイナーの文章で、アウトライナーについて「わかっていたんだけど長いことうまく言えなかったこと」が、うまく言葉にされていた(アウトライナーとかマンダラートについては「わかってるんだけどうまく言えない」ということがすごく多いんだよね)。

短い文章なので、全文訳をここに載せておく(ちなみに:ワイナーさんからは全ての文章を自由に訳していいという許可を頂いてます)。
数ヶ月前のこと、日付は確認しないと思い出せないが、私はブログの執筆環境を、新しい「Worldoutline」ベースのものへとスイッチした。

私が求めていたのはフォーマルなブログツールとツイッターの中間にあるようなもの。

言いたいことが140文字では収まりきらないことに気づいた、というのがその理由だ。今ではこれは誰もに当てはまるのではないかと思う。

だから、まるでツイッターのように流れるまま(fluid)書くことができ、かつカジュアルでありながら、文字数に制限のない環境が欲しかった。好きなだけ編集して、終わったらすぐ次の記事に移れるようなものだ。

「Fluid(流れるように)」書くというのは私にとっては重要な問題だ。私はブログを書こうなどとは考えたくなかったのだ。ただ書き始めたかった。気に入らなければ、単に跡形もなく消してしまえばいい。全ての記事が1つのドキュメントに入っているという環境を私は常に求めていたが、最近までそこにたどり着けずにいた。

私はたった今、10分ほどで2つのブログ記事を書いた。

つまり、私が言っているのはそういうことだ。

連続したツイートのように感じられるブログ記事だ。

私はそれを実現した。そして、それは素晴らしい使い心地だ。

デメリットのひとつは、誤字脱字が大幅に増えることだ。

でも、私のアイデアの中から遙かに多くが、形になってネットへと出て行く。

それが誰かにとって意味があるかどうかはともかく。:-)

ここでワイナーがFluid(流れるような)と言っているのは、ドキュメント(この場合はブログの記事)のアウトラインをつくるのではなく、ひとつのアウトラインの中に全てのドキュメントを入れこんでしまうことで、文字通り頭から流れ出すままに書くことができる、ということだ。

ワイナーの使う環境は、そのアウトラインをブログの形に自動的にレンダリングしてアップロードまでする機能を持っているのだけど(うらやましい)、単にアウトライナーの使い方ということで見れば、ぼくも含め、同じことをやっている人はけっこうたくさんいる。

ぼくも「Happy Outlining!」の中で紹介したことがあるけど、これはアウトライナーのもっとも効果的かつ強力な使い方の一つだと思う。

いわばブログのネタ帳なんだけど、単にメモとしてネタではなく、全ての書きかけ記事が1本のアウトラインに入っていて、週に数本のペースで増え続けている。そのうちのほんの一部が、記事として完成してアップされる。

その使い方はワイナーの言うとおりで、まさにツイートするような感覚で、何か思いついたら書く。それは記事の断片なのかタイトルなのか、その段階ではわからない。ただ、ファイルを作ることもなく記事投稿ページを開くこともないので、抵抗はほとんどない(これが重要)。

そのまま勢いで記事が完成してしまうこともあるし、書きかけのまま放置されることもあるけど、放置されていた断片も、後に思いついたことを位置づけていく中で成長して、最終的に完成することもある(アウトラインの中で発酵していくようなものだ)。

このときのアウトラインはひとつの「ファイル」ではあるけれど、実態は複数の「ドキュメント」、あるいはドキュメントになりきらない「ドキュメントの構成要素」の集合だ。

この感覚がアウトライナーを使わない人には、なかなか理解しにくいところのようだけど、今ならEvernoteと比較するとわかりやすいかもしれない。

Evernoteを使うと、否応なしに「ノート」という単位に縛られる。この場合の「ノート」はつまり「ドキュメント」だ。ノートはいくらでも自由に作れるけれど、ノートの中に書き込んだテキストはそのノートに従属してしまう。

これに対して、アウトライナーに書き込んだ断片は、どこにも固定的に従属しない。それ故に、圧倒的に自由だ。

見出し「A」を立ててその下にくくれば、それは「A」に従属する要素になる。この場合「A」はドキュメントのタイトルに相当するかもしれない。

しかし、アウトラインを操作しているうちに見出し「A」のさらに上位の見出し「AA」が生まれるかもしれない。その瞬間にAはドキュメントではなく「AA」がドキュメントとなり、「A」はその一要素となる。

逆にドキュメント「A」の一要素として生まれた断片が、あれこれ操作しているうちに意外な発展を見せて、最終的にドキュメント「B」として独立するということもある。

あるいは、ドキュメント「A」やドキュメント「B」を完成品としてブラッシュアップしていく過程で削り落とされた断片が集まってドキュメント「C」が生まれることだってある。

つまり、複数ドキュメントを1つのアウトラインで管理することによって、前後の脈絡(これは先に述べるべきか後に述べるべきか。前提なのか結論なのか)も、階層レベル(森に相当することなのか木に相当することなのか)も、意識しないで済むようになるのが、Fluid(流れるように)に書ける理由なのだ。

「前後の脈絡」と「階層レベル」というのは、おそらく文章を書く時の最大の壁で、それさえ気にしなければ、単に「書く」こと自体は以外に簡単だ。
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コメント 1

送付状

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。
by 送付状 (2013-03-31 12:05) 

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