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デイブ・ワイナー「君はアウトライナーを愛しているか?」 [アウトライナー]

デイブ・ワイナーによる久しぶりのアウトライナーについてのポスト「Do you love outliners?」の日本語訳。どうやらアウトライナーを使った何か大きなプロジェクトを進めているらしい…。

この記事自体は、ワイナーが関わってきたアウトライナーの誕生について簡潔に書いているけど、個人的により重要なのは「アウトライナーが扱うのはフロー(流れ)であり、アウトラインを使うことによってテキストが流動化するのだ(言いかえれば、アウトラインがテキストの流動化を可能にしてくれる)」という部分。アウトライナーの持つ意味を簡潔に、端的に示している。

最近来られた方のために書いておくと、デイブ・ワイナーは(商品としての)最初のアウトライナー「Think Tank」の開発者であり、80年代マックの名作アウトライナー「MORE」の共同開発者だ(Google Readerの件で何かと話題のRSSの誕生にも深く関わっている)。

ワイナーの手でアウトライナーが誕生したときの詳しい物語は、同じくワイナーによる「アウトライナーとプログラミング」(拙訳)を読んでくださいませね。

この記事もRenji Talk本館のアウトライナー関連翻訳に入れようかどうしようか迷ったけど、内容的にこちらにアップすることにした(本館をそろそろ再構成しないとなあ・・)。



私がアウトライナーを使い始めたのは1970年代末期、UNIX上でのことだった。スクロールする画面上で動くキャラクタベースのものだった。「1,$p」みたいなコマンドを打ち込むと、現在の階層の全ての行が表示される。コマンドの後ろに数字を入れてリターンキーを叩くと、ヘッドラインのサブテキストが表示される。基本的な操作は「潜水」と「浮上」だ。内容をあちこち移動するのはちょっと面倒だったが、当時のコンピューターにそれ以上望むことは無理だった。

ツールは年月の中で進歩していった。Visicalc、そしてLotus 1-2-3からは影響を受けた。セルを選択するVisicalcのカーソルのようにアウトラインを選択する「バーカーソル」はそこから来ている。バーカーソルは矢印キーで移動し、「<」キーを押せばアウトラインが展開し、「>」を押せば折りたたまれる。キーは覚えやすいものを選んだ。操作そのものを示すシンボルのように見えるからだ。

マウスが登場したのはそのすぐ後のことで、ダブルクリックによる展開と折りたたみが可能になり、アウトラインをある場所から別の場所へとドラッグすることもできるようになった。これで操作がより滑らかに流れるようになった。ここの部分が重要だ——アウトライナーが扱うのはフロー(流れ)であり、アウトラインを使うことによってテキストが流動化するのだ(言いかえれば、アウトラインがテキストの流動化を可能にしてくれる)。

それからグラフィックが、同時に箇条書きとツリーチャート機能がやってきた。突如としてアウトライナーを使った生産性アプリが誕生し、コンピューター上で紙とインクとハサミを使うよりも効率的に物ごとを行うことが可能になった。販売は激増した。

私はその間ずっと、アウトライナーを使ってコードや文章を書いてきた。最近では仕事仲間に自分の仕事内容を共有することと、作業の調整にも使っている。驚くほど柔軟で恐ろしく順応性のある、スイスアーミーナイフのようなツールなのだ。

ここ数ヶ月の間、アウトライナーに関して更に多くの仕事をしてきた。新しいプログラミングのパートナーであるカイル・シャンクと昨年末共同で作った、Small Pictureという新しい会社でのプロジェクトだ。製品はサーバーサイドとクライアントサイドに分かれている。クライアント側ソフトの一部を、来週お見せできる予定だ。それを使ってできること、そしてその方法にみんな驚くと思う。でも、その内容についてこれ以上教えてしまうと良い前宣伝にはならないので止めておく。 :-)

差し当たり、あなたのアウトライン・プロセッシング愛についてのストーリーがあったらポストしてほしい。私はアウトライナーを愛しているが、アウトライナーユーザーのことはもっと愛している。聡明で信じられないほどパワフルでクリエイティブな人々だ。パワフルな人々がパワフルであることを可能にするソフトなのだ。

言うべきことはまたまだたんさんある。全て言えることを祈っている。
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コメント 3

gofujita

アウトライナーを使って(オンラインで?)仕事を共有し、作業調整に使うなんて、すばらしいアイディアですね。アイディアやタスクのリストがダイナミックに変化する絵が浮かんで、少しワクワクします。もちろん、タスクリストをクリアせずに増やすばかりの仲間がいると、憂鬱にもなりそうですが。ともあれ、ぼく自身がそれを実行する同僚をつくるのには、もう少し時間がかかりそうです。
by gofujita (2013-03-18 17:42) 

Tak.

gofujitaさん
「アウトライナーを使ってオンラインで仕事を共有する」ことについては、ワイナーはかなり前から取り組んでいます。ここで記事になっています。→http://bhc3.com/2009/01/16/before-there-was-twitter-there-was-dave-winers-instant-outliner/

Scripting Newsを辿ると、実際にはワイナーがUserland社を経営していた頃から内部的には利用していたようです。この用途にアウトライナーを使うというのは、おそらく他にない試みじゃないかと思います。まもなく公開されるというそれが、これと同じものなのかはわかりませんが・・。

仕事の共有、シャレにならないくらい難しいですよね。職場ではExchangeとか使ってますが、なんとも・・。
by Tak. (2013-03-20 21:39) 

gofujita

Tak.さん

ワイナーの記事、これまたカブリツキで読みました。感謝です。具体的なやり方が見えてきました。少なくとも仕事のプロジェクト内のやりとりは、email ではなくこの形にすれば effortless の理想に近づくと強く感じました。クラウドも気楽に使える今なら、難しいことではないですよね。できるところから、やってみようと思います。ワイナーのソフトも気になります。
by gofujita (2013-03-21 10:36) 

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