愛妻家、アウトロー、結婚の残り10% [Thoughts]
おそらく結婚を意識した相手がいる(しかし迷っている)と思われる20代の女性から、「Tak.さんは結婚して良かったと思いますか?」と聞かれた。
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なぜか周辺では「Tak.さんは愛妻家」というイメージが定着している。ぼくのことをあまり深く知らない女性から「うらやましい」とか言われることもある。
社交辞令なんだろうと思ってたけど、必ずしもそればかりじゃないことが最近わかってきた。
それはたぶん、未婚者が結婚について希望を持てるような発言をする既婚者があまりにも少ない中で、結婚生活についてネガティブなことを一切言わないからだ。
その上、
やさしそうだし。
家事とかやりそうだし。
家庭優先してくれそうだし。
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だけどそういう人たちも、何かの機会にもう少し話がディテールに及んで「冷たい雨の降る日曜日に一人でとぼとぼ杉並区役所の休日受付窓口に結婚届を出した」とか「結婚してもう15年以上たつけど両家の親戚にはまだ挨拶してないし」とか「2年くらい別居してた」とか「寝室は最初から別だし」いう話をすると、なんとなく雰囲気が微妙になってくる。
そして、
「プロポーズ? しなかった」
「ご両親に挨拶? 行かなかった」
「結婚式? あげてない」
「結婚指輪? 買わなかった」
「新婚旅行? 行ってない」
というあたりでイメージが「Tak.さんはアウトロー」に変容し、そればかりか「お金なかったんですか? 今からでもウェディングドレス着せてあげたくないんですか? どうなんですか?」と追求してきた人も(複数)いた。
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不思議に思うのは、いい歳をした大人で、これまでいろんなものを見て、いろんな経験を積んできたはずなのに、こと結婚のことになるととても単純で表面的で思考停止に陥った発言をする人が多いこと。
ぼくのことを「いいダンナさん」という人は、いったいどのような概念を指して「いいダンナさん」と言ってるのだろう?
あるいは、15年以上結婚生活を続けてることに対して「どっちが我慢してるんですか?」と質問した人がいたけど、その人の認識では、結婚生活というのはどちらかが一方的に我慢しないと成立しないものなんだろうか。
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結婚についのて話題ってどういうわけか「(事情を知った)既婚者が(事情を知らない/幻想を持った)未婚者に理想とは違う現実をちょっと自嘲的に説いて聞かせる」という構造になってることが多い。
でもその根拠を問うと「あなたもそのうちわかるわよ」くらいの説明しかない。
そして共通してるのは、結婚という「関係」のもう一方の当事者である自らの責任や努力についてはなんら言及されないところ。
当たり前だけど、夫婦というのは「関係」だから、どちらか一方だけでは成立しないものだ。もしぼくが「愛妻家」とか「いいダンナさん」に見えるとしたら、それは夫婦「関係」が、そのように見える状況を生み出しているということだ。
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以前にも書いたけど、何かを作ろうとするとき、いちばん時間と手間と労力がかかるのは、最後の仕上げの10%だし、そこで必要なものはテクニックでもハックでもなくプリミティブな「気合い」であることが多い。
結婚にもたぶん同じことが当てはまる。「結婚」自体は二人の大人が個別に決断すればできる(法律上の結婚であるかどうかに関わらず)。でも、そこから本当の意味で生活を確立するまでの残り10%の「仕上げ」の方が、はるかに時間と労力(そして気合いが)が必要だ。
昔は「夫婦」のあるべきカタチが定まっていた(と思われていた)から、良くも悪くもそれに合わせればいいというところがあったかもしれない。でも今はそうじゃない。
非常にリアルに書けば、対外的な夫婦としての振るまい方から互いの体質から空間感覚から食べ物の好みから両親親戚とのつきあい方から仕事のあり方から病気からセックスから掃除のやり方からテレビの見方から風呂の入り方からけんかの仕方から寝相から洗濯物のたたみ方までありとあらゆることに及ぶ。
どんな細かいことも関係の中であり方が決まる。一方だけでは成立しない(結果的に役割分担がされるとしても@洗濯苦手)。
双方が心地よくて納得できるカタチを、自分たちのアタマでゼロから創りあげて、なおかつ時代と人生の状況に合わせて維持していかなければならない。しかも確立して安定稼働してると思ってたことが、実は幻想だったことを思い知らされることもしばしばある。
それは昔からの常識とか、人生の先輩(=他人)のアドバイスとか、雑誌の記事とか、そんなものが簡単に通用するようなものじゃない、と思う。
そのしんどい仕上げ工程に正面から向き合わない状態での結婚が期待と違うことを「あなたにもそのうちわかるわよ」とか「私も結婚前はそんなふうに思っていたものよ…」で片付けてしまうのは、あるいは目に見える部分を拾い上げて「いいダンナさんね」というのは、あまりにおめでたいんじゃないかな。
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というところでようやく前提をクリアしたから言うけど、個人的には結婚してとても良かったと思っている。
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なぜか周辺では「Tak.さんは愛妻家」というイメージが定着している。ぼくのことをあまり深く知らない女性から「うらやましい」とか言われることもある。
社交辞令なんだろうと思ってたけど、必ずしもそればかりじゃないことが最近わかってきた。
それはたぶん、未婚者が結婚について希望を持てるような発言をする既婚者があまりにも少ない中で、結婚生活についてネガティブなことを一切言わないからだ。
その上、
やさしそうだし。
家事とかやりそうだし。
家庭優先してくれそうだし。
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だけどそういう人たちも、何かの機会にもう少し話がディテールに及んで「冷たい雨の降る日曜日に一人でとぼとぼ杉並区役所の休日受付窓口に結婚届を出した」とか「結婚してもう15年以上たつけど両家の親戚にはまだ挨拶してないし」とか「2年くらい別居してた」とか「寝室は最初から別だし」いう話をすると、なんとなく雰囲気が微妙になってくる。
そして、
「プロポーズ? しなかった」
「ご両親に挨拶? 行かなかった」
「結婚式? あげてない」
「結婚指輪? 買わなかった」
「新婚旅行? 行ってない」
というあたりでイメージが「Tak.さんはアウトロー」に変容し、そればかりか「お金なかったんですか? 今からでもウェディングドレス着せてあげたくないんですか? どうなんですか?」と追求してきた人も(複数)いた。
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不思議に思うのは、いい歳をした大人で、これまでいろんなものを見て、いろんな経験を積んできたはずなのに、こと結婚のことになるととても単純で表面的で思考停止に陥った発言をする人が多いこと。
ぼくのことを「いいダンナさん」という人は、いったいどのような概念を指して「いいダンナさん」と言ってるのだろう?
あるいは、15年以上結婚生活を続けてることに対して「どっちが我慢してるんですか?」と質問した人がいたけど、その人の認識では、結婚生活というのはどちらかが一方的に我慢しないと成立しないものなんだろうか。
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結婚についのて話題ってどういうわけか「(事情を知った)既婚者が(事情を知らない/幻想を持った)未婚者に理想とは違う現実をちょっと自嘲的に説いて聞かせる」という構造になってることが多い。
でもその根拠を問うと「あなたもそのうちわかるわよ」くらいの説明しかない。
そして共通してるのは、結婚という「関係」のもう一方の当事者である自らの責任や努力についてはなんら言及されないところ。
当たり前だけど、夫婦というのは「関係」だから、どちらか一方だけでは成立しないものだ。もしぼくが「愛妻家」とか「いいダンナさん」に見えるとしたら、それは夫婦「関係」が、そのように見える状況を生み出しているということだ。
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以前にも書いたけど、何かを作ろうとするとき、いちばん時間と手間と労力がかかるのは、最後の仕上げの10%だし、そこで必要なものはテクニックでもハックでもなくプリミティブな「気合い」であることが多い。
結婚にもたぶん同じことが当てはまる。「結婚」自体は二人の大人が個別に決断すればできる(法律上の結婚であるかどうかに関わらず)。でも、そこから本当の意味で生活を確立するまでの残り10%の「仕上げ」の方が、はるかに時間と労力(そして気合いが)が必要だ。
昔は「夫婦」のあるべきカタチが定まっていた(と思われていた)から、良くも悪くもそれに合わせればいいというところがあったかもしれない。でも今はそうじゃない。
非常にリアルに書けば、対外的な夫婦としての振るまい方から互いの体質から空間感覚から食べ物の好みから両親親戚とのつきあい方から仕事のあり方から病気からセックスから掃除のやり方からテレビの見方から風呂の入り方からけんかの仕方から寝相から洗濯物のたたみ方までありとあらゆることに及ぶ。
どんな細かいことも関係の中であり方が決まる。一方だけでは成立しない(結果的に役割分担がされるとしても@洗濯苦手)。
双方が心地よくて納得できるカタチを、自分たちのアタマでゼロから創りあげて、なおかつ時代と人生の状況に合わせて維持していかなければならない。しかも確立して安定稼働してると思ってたことが、実は幻想だったことを思い知らされることもしばしばある。
それは昔からの常識とか、人生の先輩(=他人)のアドバイスとか、雑誌の記事とか、そんなものが簡単に通用するようなものじゃない、と思う。
そのしんどい仕上げ工程に正面から向き合わない状態での結婚が期待と違うことを「あなたにもそのうちわかるわよ」とか「私も結婚前はそんなふうに思っていたものよ…」で片付けてしまうのは、あるいは目に見える部分を拾い上げて「いいダンナさんね」というのは、あまりにおめでたいんじゃないかな。
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というところでようやく前提をクリアしたから言うけど、個人的には結婚してとても良かったと思っている。
こんばんはー。Tomo.さんはブログとか書かれてないのですか?Tomo.さんがTak.さんの文章を読んで「アウトライナーを使ってるか使ってないかが分かる」っていうエントリがすごく好きです。
by cube (2013-12-25 21:27)
cubeさん
またニッチな 笑
Tomo.さんブログはあります。今は更新してませんが。
どこかにリンクが貼ってあったと思います。。
by Tak. (2013-12-26 09:26)