センテンスを組み立てるためにアウトライナーを使う [アウトライナー]
以前も紹介したけど、ぼくはこのブログのような文章を書くとき、アウトライナーを使ってかなり細かく、ほとんど文節単位で改行しながら書いていく(人に見せると驚かれる)。
参考記事:
アウトラインぽくない文章をアウトライナーで書く
通常、アウトライナーは文章全体のロジックをコントロールするために使うけど、それだけでなくセンテンスのレベルにまで使っていることになる。
普段使っているOmniOutlinerであれば[command]+[control]+上下カーソルキー、Windows版Wordのアウトラインモードであれば[Alt]+[Shift]+上下カーソルキー、WorkFlowyであれば[shift]+[control]+上下カーソルキーで、アウトラインのトピック=行を上下に移動できる。
細かく改行された言葉のピースをアウトライナーの機能を使って入れ替えながら組み立てて行く。これで、カット&ペーストすることなく、かなりの程度までセンテンスを組み立ててしまうことができる。
もちろん最終段階ではエディタを使って行を結合して文章として仕上げるんだけど、最初からセンテンスとして連なったものをカット&ペーストで編集するよりも、はるかに楽で根気がいらない。
■
考えてみると、文章を書くときには「内容を考える」ことと、「内容を言葉に置きかえ、滑らかにつないで流れをつくる」ことという、まったく異なる作業を同時にやっているわけだ。これが頭にとって相当な負荷であることは想像がつく。
通常、アウトラインを作るというのは「全体の内容を考える」部分に相当する。でもどれだけ内容を検討し、アウトラインを組み立てても、最終的な文章を書く段階が楽になるわけではない。
個人的・書く気があるのに文章が書けなくなる典型的なパターン。
素敵な言葉の流れが頭に浮かんだけれど、ロジックとしてつなぎ合わせたときの説得力がなく、あーでもないこーでもないと考えているうちにフレーズが色あせて見えてくる。→嫌になる
逆にすごく説得力のあるロジックを思いついたけど、それを表現しようとした言葉の流れが素敵じゃないので呻吟しているうちに、ロジックがわからなくなる。→嫌になる
どちらにしてもアウトライン以降のセンテンスの段階で嫌になってるのだ。そして異なる2つの作業を同時にやろうとしていることに起因している。
それがうまくできなかったために、頭に浮かんだ言葉のピースを打ち出していく段階と、それを並べ替えて流れを組み立てる段階を自然に分けるようになったのだと思う。
(直接的なきっかけはたぶん、昔ある企業の社内報の作成みたいな仕事をしていたとき。その会社の支店や部署を回って社員さんにインタビューして記事を書くんだけど、話し言葉を文章にうまく変換できず、苦し紛れにやり始めた気がする)
それであまりにも劇的に楽になったので、自分の言葉を文章化するときにも同じやり方をするようになった。
これはアウトライナーを使ってはいても、いわゆる「アウトライン作成」とは違う。中身の文章そのものを書く作業だ。だけどキーボード(またはマウス操作)で行の前後配置を自由にコントロールできるという、アウトライナーの機能を前提にしている(普通のエディタでこれをやるのは厳しいと思う)。
センテンスレベルでもアウトライナーの機能が有効だということは、おそらくあまり意識されてないのじゃないかと思う。
■
この使い方は、アウトライナーの選択にも影響を与える。
まず、見出しと本文を区別しないプロセス型アウトライナーでなければならない。その上で個人的にOmniOutlinerやFargoを第1の選択とするのは、リターンキーを叩いたときの挙動だ。
通常のエディタの場合、行の途中でリターンをたたくとその位置に改行が挿入され、行が分割される。WordのアウトラインモードやWorkFlowyもそうだ。一方OmniOutlinerやFargoでは、行頭にいようと行末にいようと真ん中にいようと、リターンを叩けば新しいトピックがつくられる。
これはデイブ・ワイナーによる最初期のアウトライナーの作法を引き継いだものだ。
通常のエディタに慣れていると違和感があると思うけど、改行で区切られた言葉のピースを組み立てるプロセスに使っていると有難味を実感する。「行末にカーソルを移動する」というわずかなステップのために消えてしまうものが確かにある。
※なお、OmniOutlinerの場合、リターンキーを押したときの挙動は「新しい空き項目を作成」(ここで紹介している動き)と「現在の項目で改行を挿入」(通常のエディタと同じ動き)を選択できる。
■
ところで、ここで紹介した方法を使う場合、キーワードとなる単語だけを羅列してしまうと、あまりうまくいかない。
アウトライナーで操作するのは、文章の流れにそのまま組み込まれることを前提とした言葉の流れ(ストリーム)の断片。
以前、マインドマップを文章化するのは簡単ではないということについて書いたことがあるけど、たぶんそれと同じことです。
参考記事:
アウトラインぽくない文章をアウトライナーで書く
通常、アウトライナーは文章全体のロジックをコントロールするために使うけど、それだけでなくセンテンスのレベルにまで使っていることになる。
普段使っているOmniOutlinerであれば[command]+[control]+上下カーソルキー、Windows版Wordのアウトラインモードであれば[Alt]+[Shift]+上下カーソルキー、WorkFlowyであれば[shift]+[control]+上下カーソルキーで、アウトラインのトピック=行を上下に移動できる。
細かく改行された言葉のピースをアウトライナーの機能を使って入れ替えながら組み立てて行く。これで、カット&ペーストすることなく、かなりの程度までセンテンスを組み立ててしまうことができる。
もちろん最終段階ではエディタを使って行を結合して文章として仕上げるんだけど、最初からセンテンスとして連なったものをカット&ペーストで編集するよりも、はるかに楽で根気がいらない。
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考えてみると、文章を書くときには「内容を考える」ことと、「内容を言葉に置きかえ、滑らかにつないで流れをつくる」ことという、まったく異なる作業を同時にやっているわけだ。これが頭にとって相当な負荷であることは想像がつく。
通常、アウトラインを作るというのは「全体の内容を考える」部分に相当する。でもどれだけ内容を検討し、アウトラインを組み立てても、最終的な文章を書く段階が楽になるわけではない。
個人的・書く気があるのに文章が書けなくなる典型的なパターン。
素敵な言葉の流れが頭に浮かんだけれど、ロジックとしてつなぎ合わせたときの説得力がなく、あーでもないこーでもないと考えているうちにフレーズが色あせて見えてくる。→嫌になる
逆にすごく説得力のあるロジックを思いついたけど、それを表現しようとした言葉の流れが素敵じゃないので呻吟しているうちに、ロジックがわからなくなる。→嫌になる
どちらにしてもアウトライン以降のセンテンスの段階で嫌になってるのだ。そして異なる2つの作業を同時にやろうとしていることに起因している。
それがうまくできなかったために、頭に浮かんだ言葉のピースを打ち出していく段階と、それを並べ替えて流れを組み立てる段階を自然に分けるようになったのだと思う。
(直接的なきっかけはたぶん、昔ある企業の社内報の作成みたいな仕事をしていたとき。その会社の支店や部署を回って社員さんにインタビューして記事を書くんだけど、話し言葉を文章にうまく変換できず、苦し紛れにやり始めた気がする)
それであまりにも劇的に楽になったので、自分の言葉を文章化するときにも同じやり方をするようになった。
これはアウトライナーを使ってはいても、いわゆる「アウトライン作成」とは違う。中身の文章そのものを書く作業だ。だけどキーボード(またはマウス操作)で行の前後配置を自由にコントロールできるという、アウトライナーの機能を前提にしている(普通のエディタでこれをやるのは厳しいと思う)。
センテンスレベルでもアウトライナーの機能が有効だということは、おそらくあまり意識されてないのじゃないかと思う。
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この使い方は、アウトライナーの選択にも影響を与える。
まず、見出しと本文を区別しないプロセス型アウトライナーでなければならない。その上で個人的にOmniOutlinerやFargoを第1の選択とするのは、リターンキーを叩いたときの挙動だ。
通常のエディタの場合、行の途中でリターンをたたくとその位置に改行が挿入され、行が分割される。WordのアウトラインモードやWorkFlowyもそうだ。一方OmniOutlinerやFargoでは、行頭にいようと行末にいようと真ん中にいようと、リターンを叩けば新しいトピックがつくられる。
これはデイブ・ワイナーによる最初期のアウトライナーの作法を引き継いだものだ。
通常のエディタに慣れていると違和感があると思うけど、改行で区切られた言葉のピースを組み立てるプロセスに使っていると有難味を実感する。「行末にカーソルを移動する」というわずかなステップのために消えてしまうものが確かにある。
※なお、OmniOutlinerの場合、リターンキーを押したときの挙動は「新しい空き項目を作成」(ここで紹介している動き)と「現在の項目で改行を挿入」(通常のエディタと同じ動き)を選択できる。
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ところで、ここで紹介した方法を使う場合、キーワードとなる単語だけを羅列してしまうと、あまりうまくいかない。
アウトライナーで操作するのは、文章の流れにそのまま組み込まれることを前提とした言葉の流れ(ストリーム)の断片。
以前、マインドマップを文章化するのは簡単ではないということについて書いたことがあるけど、たぶんそれと同じことです。
すいません。下らない質問で申し訳ありませんがOmniOutlinerで行(トピック)の結合はどうやるのでしょうか?
by すずめ (2014-07-14 09:08)
偶然見つけたのですが、Markdown 経由だと、文節ごとの改行を自然になくすことができますね。
Markdown 文法では、 改行 (line break) ひとつが 無視されるので OmniOutliner から Byword など Markdown を使える App にコピペして (文節の改行を無理に全削除する必要なく) 文章を仕上げながら整形し、 html や pdf などに出力すると、 そのまま、通常 (?) の形に仕上がります。
Markdown を使う人にとって、 ここで紹介されている文節区切りでセンテンスを組み立てる方法は、馴染みやすいやり方だと思っています。
これは、重視するテキスト情報の単位が Word などのワープロと Markdown (や html) でちがっているからでしょうか..。 少し興味をもっている部分です。
by gofujita (2014-07-15 10:56)
もうひとつ。
今まで意図的に、リターンキーをおすとカーソルの位置で項目をわける設定にしていました。その方が、適当にタイプしてから思う形に項目を分けるのに楽だと考えたからです。
でも、Tak.さんの言う設定にすると、タイプ途中でも編集中でもカーソルの位置を気にする必要がなくなり、不用意に項目を壊す心配をしなくてすむこと、カーソルをいついつも文末へ持って行こうとしている心のストレスがなくなることを実感しました。
目から鱗でした。
by gofujita (2014-07-16 11:02)
実は、私もすずめさんの疑問持ってた…笑 トピックの結合、ctr+backで出来るときと出来ないときがあるんです。。
by cube (2014-07-17 21:43)
すずめさんを混乱させるコメントを書いたかも知れません。ごめんなさい。ぼくは以下を使っています。
・トピック(行)の結合:行頭にカーソルを移動し (shotcut: cmd+左矢印)、ctrl+shift+backspace
・トピックの分割:分割したい位置にカーソルを移動し、ctrl+shift+return
by gofujita (2014-07-18 10:49)
すずめさん、cubeさん
お返事遅れました。gofujitaさんに書いていただいた通り、行の結合は行頭にカーソルを置いた状態で[shift]+[control]+[delete](gofujitaさんがbackspaceと書かれてるのと同じキー)です。
by Tak. (2014-07-20 13:51)
gofujitaさん
カーソルを文末に持っていくストレスって、言われないと気がつかないけど意外に大きいものだと思います。
Markdownとの組み合わせは面白いですね。アウトライナーの中でMarkdown文法で書いていって、アウトライナーの中で選択した箇所を別画面でプレビューとかできるといいなと思います。
by Tak. (2014-07-20 13:59)
Tak.さん。
> アウトライナーの中でMarkdown文法で書いていって、アウトライナーの中で選択した箇所を別画面でプレビューとかできるといいなと思います。
なるほど。アウトライナーでそのまま Markdwon プレビューが隣に画面表示できれば、さらに自然な形で文書の仕上げができそうですね。
> gofujitaさんがbackspaceと書かれてる..
フォロー、ありがとうございました。一番使っている Mac が UK キーボードで [delete] キーに左矢印しかなく、適当に backspace と呼んでました。気をつけます。
by gofujita (2014-07-21 12:37)
Tak.さん、gofujitaさん、丁寧なお答えありがとうございます。
アウトライナーは好きでよく使っているのですが、雑な使い方のせいか、便利な機能を見落とすことが多く反省しています。
ショートカットキーをもう一度、見直してみなければ。
ありがとうございました。
by すずめ (2014-07-23 20:43)