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国会図書館の目玉焼きサンドと阿刀田高さん [Diary]

子どもの頃、母がよく作っていた目玉焼きサンドが好きだった。

トーストした食パン2枚にバターをぬり、片面に千切りキャベツを敷く。その上に両面焼いた目玉焼きを置き、マヨネーズとケチャップを塗ってもう1枚のパンを合わせる。しばらく時間がたつとキャベツがしんなりして卵となじんでおいしい。

これ実家のオリジナルだとばっかり思ってたんだけど、実は昔(昭和40年代)の国会図書館の食堂のメニューだったらしい。母はぼくが生まれる直前まで国会図書館に勤めていた。

国会図書館での母の同僚に、阿刀田高さんがいた(既に作家としてデビューしていた)。実家には赤ん坊のぼくが阿刀田さんに抱かれている写真がある。母が退職後にはじめて挨拶に行ったときのものだ。

ぼくはそのときのことをかすかに覚えている。

知らないおじさんが満面の笑みでぼくを抱きあげ、そうしたらちょうど顔の横に長い紐があったので引っ張ったら何かが勢いよく跳ね上がって、ぼくはびっくりして泣いた(それは窓にかかっていたブラインドの紐だったのだ)。

その記憶は長い間ぼくの中にあって、あるとき家族に初めてその話をしたら、それが国会図書館で阿刀田さんに抱き上げられたときのものだということがわかった。大学生のときだったと思う。

そのとき、話の流れで国会図書館の食堂の話になって、実は例の目玉焼きサンドが国会図書館の食堂のメニューだったということが判明したのだ。

だからぼくの中では、国会図書館と目玉焼きサンドと阿刀田高さんが分かちがたく結びついている。

毎日書庫の中を台車を押しながら行ったり来たりして、お昼になると食堂で目玉焼きサンドを食べ、家に帰ってこつこつと「ブラックユーモア入門」を書く阿刀田高さん。

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