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Fargoはアウトライナーの持つ可能性とビジョンのショーケース [アウトライナー]

何週間か前に、ちょうどFargoの話をしようと思ってたところでWorkFlowyにはまってそのままになってしまったので、今日はFargoの話を。

WorkFlowyの秀逸なUIデザインを見た後でFargoをみると、思わずうーむと唸ってしまうのだけど、アウトラインそのものの見た目は嫌いじゃない。古くさいことは否めないけど、これはまあ好みですね。

Fargoのアウトライナーとしての基本機能はとてもシンプル。まさに典型的なプロセス型アウトライナー(ただしOmniOutlinerでいう「巻き上げ」、WorkFlowyでいう「ズーム」機能はない)。

普段アウトライナーを使い慣れた人なら(特にマックのアウトライナーを使い慣れた人なら)、説明を見ないでもひととおり使えると思う。

動作は安定していて、通常のアウトライナーとして使う分には日本語も問題なく通る。いくつか細かい問題点はあるけど(アウトラインをテキストエディタにコピペすると、行によってタグが入ってしまうなど)、実用性は充分にある。

動作は速く、ほとんどストレスはない。キーボードショートカットも充実しているので、デスクトップアプリと同じ感覚で使える。

アウトラインを操作するときのカチッとした固めの感触は、OPALに似ているかもしれない。かつてワイナーが作ったMOREが、すごく柔らかい感触だったのとは対照的。

WorkFlowyと比較したときの最大の違いは、トピック単位の選択とコピペができること(これは、以前WorkFlowyの欠点として指摘した点だ)。

複数トピックの選択ももちろんできるし、上位トピックを選択してコピーすれば下位のトピックも一緒にコピーされる。アウトライン操作の自由度はWorkFlowyより高い。

このあたりの感覚も、いちばん似ているのはOPALだと思う。

あと、無視できないメリットが、デフォルトでDropboxアカウントにアウトラインが保存されていること。エクスポートということを考える必要がない。ウェブアプリにありがちな「抜けられなくなる」不安もない。ある日突然サービスが終了してサーバーごと消滅してしまう不安とかも。

逆にFargoの残念なところは、iOS版Safariではテキストの入力やリターンキーによる新しいトピック(行)の作成はできるけど、アウトラインの操作はできないこと。つまりiPhoneやiPadでは使えない。Androidではわからないけど、たぶんダメなんじゃないかな。この点については、iOS専用アプリを用意しているWorkFlowyの勝ち。



とはいえ、Fargoについては、アウトライナーとしての「使いやすさ」とか「便利さ」とかだけで評価するべきではないと思う。

たとえば以前紹介したことがあるWordPressへの公開機能は、ブログ(というかウェブライティング)のためのオーサリングツールのあり方についてのワイナーのビジョンを示している。

また、メンバー間でツイートのようにアウトライントピックを交換するCommunity Feedの機能に見られるように、ワークグループのコミュニケーションツールとしても大きな可能性を秘めている。

Fargoは単なるアウトライナーではない。ワイナーたちがこれまで育んできた、アウトライナーの持つ可能性とビジョンのショーケースなのだ。
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モノ=脂肪説 [Diary]

人生における「モノ」の振る舞いは脂肪に似ている。その重要性もだいたい同じくらい。

ある程度はないと生きていけない。でも、その量が一定以上に増えると、人から頭のクリアさや動きのキレや行動の意欲を奪う。

そして、長期的には人生全体の健全さを損なう。

放っておくと少しずつ確実に増え、あるポイントを超えると簡単には減らせなくなる。

減らした方がいいことはわかっていても、今減らすことができない理由はいくらでも思いつく。

その上、モノが脂肪よりさらにやっかいなのは、モノがその物理的質量だけでなく、乗り移った記憶や存在していた時間やこだわりの重さでも人を押しつぶすことだ。
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アウトライナーにはプロセス型とプロダクト型がある [アウトライナー]

アウトライナーと呼ばれるソフトはたくさんあるけど、長年それらを使い続けているうち、ある特定の条件を満たしていないと、自分の思うようなアウトライナーの使い方ができないことに気づいた。

「Happy Outlining!」の中では、その条件を満たしているものを仮に「私的・真のアウトライナー」とよんだ。

その条件とは、
条件1 アウトライナーの基本機能を満たしていること
条件2 シングルペイン方式であること
条件3 「本文」と「見出し」を区別しないこと
条件4 ホイスト(フォーカス/ズーム)機能がついていること

もちろんこの条件を満たしていない「アウトライナー」もたくさんあるし、それらが「偽のアウトライナー」というわけでは全くない。「真のアウトライナー」という語感が我ながらステキじゃないと思うこともあって、もう少しマシな言い方がないかといろいろ考えてみたこと。



以前ワイナーのScripting News経由で知った、ブロガー間でのアウトライナーをめぐる論争があまりにも面白かったので、一連のやり取りを全て訳して公開したことがある。

ものすごく簡単にいうと「アウトライナーを使うことは有害だ」という〈有害派〉と、「いや、アウトライナーは有益だ」という〈擁護派〉の論争なんだけど、何が興味深かったかというと、同じアウトライナーの話をしているにも関わらず、「有害派」と「擁護派」との間でどこか話がかみ合っていないこと。

「アウトライナーは、本来階層構造で表現できないものまで階層構造の中に閉じ込めてしまう」と主張する〈有害派〉に対して〈擁護派〉は「アウトライナーは階層構造を強制などしないし、むしろテキストの固まりの移動が容易にできること、マクロな視点とミクロな視点を自由に行き来できることでより自由に編集ができる」と主張する。

かみ合ってないというのは、この2つの主張は実は文書作成の異なるフェーズについて話をしているからだ。〈有害派〉はアウトラインを「結果(プロダクト)」として捉えているのに対して、擁護派はアウトラインを文書作成の「過程(プロセス)」と捉えているということだ(この論争については以前「結果と過程のアウトライン」という記事に書いたので、興味ある方はご参照を)。



で、ここからが本題なんだけど、アウトライナーに対するこの2つの見方と同様に、アウトライナーそのものにも2つの思想がある。

アウトラインを常に流動する文書作成または思考の過程を捉えるものと考えるタイプ(=プロセス型)と、最終的に到達するべき完成品の骨組みを示したものと考えるタイプ(=プロダクト型)だ。

いちばんわかりやすい違いは「見出し」に対する考え方だ。

プロセス型アウトライナーには「見出し」という概念がない。トピックを無限に入れ子にできるけれど、どれが見出しでどれが本文かという決まりはない。あるトピックが見出しになるか本文になるかは、そのトピックがどの階層に位置づけられるかによって決まる。

何かを書いている途中の段階(プロセス)ではアウトラインは流動的であり、アウトラインの中のトピックが最終的に見出しになるのか、段落を構成するセンテンスの一部になるのか、単なるメモ書きなのかは、わからない。

だからこそ全てのトピックが等価である必要があるし、そうでなければ自由に思考プロセスをコントロールすることはできない。そういう思想を持っているのがプロセス型アウトライナーだ。

一方で、アウトラインを「完成品の骨組み」と考えるプロダクト型アウトライナーでは、アウトラインは完成品の本文の「見出し」と対応している。典型的なのはワードのアウトラインモードだ。また、アウトラインと本文を別ペインに表示するダブルペイン(2ペイン)型アウトライナーも、多少意味合いは違うけれどこちらに近い。

これはこれで便利ではあるけれど、このタイプのアウトライナーで思考プロセスをアウトラインとしてコントロールしようとすると、「見出し=完成した文書の構成」に頭が縛られてしまってうまくいかない。

また、最終的には消えてしまうけれども、プロセスの中で重要な役割を果たす、いわば「補助線」のようなトピックがあるけど、そういうものもうまくアウトラインの中に組み込むことができない。

この違いは、ちょっと考えるよりずっと大きい。



ということで、もうおわかりのように、ぼくがこれまで「真のアウトライナー」と呼んできたものは言わずもがな、アウトラインをプロセスとして捉える「プロセス型アウトライナー」のことだ(少しだけ、ステキな名前になったね)。

そして、多くの人が唯一知っているアウトライナーがワードのアウトラインモードであるということが、アウトライナー、特にプロセス型アウトライナーについての理解を難しくしている面は否めないと思う。

関連:
私的・真のアウトライナー
結果と過程のアウトライン(アウトライナー有害論争のまとめ)
アウトライナーとしてのWord(今にして思えばプロセス型とプロダクト型の使い分けについて書いている)
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優先順位をつけないことが正解な場合もある [Diary]

「優先順位をつけないことが正解な場合もあるけどねー」って何の気なしに言ったら、年下の友人から「どうしてですか??」と説明を求められた。(^^;

もちろん明日締め切りのシゴトと来週締め切りのシゴトがあったら、どっちを優先するべきかは明白。

でも、自分の意思で行う自分自身の活動について「優先順位」を決めることに意味のあるのかどうか、自分にはわからない。

そもそも優先順位をつけるということは、あることが別の何かよりも「重要」だとあらかじめわかってるということ。

それってある意味では結果を既にイメージできているということだ。

でも、人生が計画した通り思い通りに進むことなんてまずない。今日何かがより重要だと思っても(そして優先順位を高く設定しても)、一週間後にそれがまだ重要だとは限らない。

何が重要だったかなんて、ほとんどの場合「結果的に」後になってからしかわからないのだ。

※ちなみに「後になってからしかわからない」はずのことを事前に決めつけようとすることで、不幸になってる人がたくさんいる、と思う。

よく自己啓発書なんかに出てくる「重要度」と「緊急度」のマトリクスがあるけど、ビジネスならともかく、人生の優先順位の根拠として本当に確実なのは「緊急度」だけで、「重要度」なんてそんなにも不確実なものだ。

そんな不確実な「重要性」に基づいて優先順位を決めてしまったらどうなるか。

いったん優先順位を決めてしまうと、行動が優先順位に縛られる。

優先度を高く設定したことが、(気分が乗らないとかで)どうしてもできなくても、優先度が高いという理由だけでなんとかそれをやろうと葛藤し、その結果時間と気力を消耗する。

そして、優先順位さえ決めていなければ自然にできてたかもしれないことが、できずに終わる。真面目で誠実な人ほどそうなる。身に覚えありませんか?

だったら、優先順位なんか決めつけようとしないで、最初からその瞬間にやりたいこと、できることを片っ端からやった方が結果的に「正解」である可能性が高い。少なくとも「何かをしている」わけだから。

そうやって「結果的にやってしまったこと」を後から位置づけていくと、意外に間違ったことにはなってないことが多い。少なくとも優先順位を一生懸命考えたあげく何もしてないよりは。



て、ここまで書いてきて思うんだけど、これは要するにレオ・バボータの「ノーゴール」(目標を定めない)と同じことだ。

ただ、個人的には「目標を定める」ときの高揚感は捨てがたいので、完全に「ノーゴール」にしようとは思わないけど。



あ、でもひとつだけ確実な優先順位の根拠があった。
それはたぶん「愛」です。
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WorkFlowyとOmniOutlinerを比較する [アウトライナー]

2016年2月20日追記:
最近のWorkFlowyの盛り上がりのためか、この記事のアクセスが多いようです。この記事は2013年5月時点での内容です。この記事で指摘したWorkFlowyの問題点はその後改善されています。2014年7月からその旨の追記を文末に追加してありましたが、一部で誤解を招いている形跡があるので文頭↓に移しました。またOmniOutlinerの「巻き上げ」機能はOmniOutliner4では「フォーカス」という名前になってします。


2014年7月13日追記:
WorkFlowyでついに複数トピックの一括選択と「単純なコピペ」か可能になりました。これで名実ともに誰にも迷いなく進められるアウトライナーになったと思います(個人的には引き続きOmniOutlinerを使い続ける予定ですが…)。



メインで使うアウトライナーをOPALからOmniOutliner Proに移行してから、ちょうど一年くらいになる。

今の自分にとってはOmniOutlinerがあまりに自然かつ透明で、当分他のアウトライナーを顧みることはないと思っていたのに、先週それが揺らぐ出来事が起こった(笑)。

WorkFlowyがとてもポピュラーなWEBベースのアウトライナーだということは知っていたし、以前使ってみたことだってあった。でも、そのときは特に強い印象は受けなかった。「数あるいろんなアウトライナーのひとつ」くらいの印象。

でも連休中にツイッターで知り合った方に「WorkFlowyがすごくいい」と言われ、その人のあげたポイントにピンとくるものがあったので(あ、この人わかってる!)、もう一度真剣に使ってみた。

で、陳腐な表現を使わせていただくと、ぶっ飛びましたね。正直言ってWEBアプリでここまでできるのかという驚き。そして自分の目はフシアナだったという再確認(笑)。



WorkFlowyのアウトライナーとしての使い心地・感触は、ワイナーのFargoを含め、他のWEBベースのアウトライナーをはるかに超えている。それどころか、これまて使ったことのある多くのデスクトップ版アウトライナーも超えている。

特に秀逸なのが、ズーム機能のUI

ズーム機能とは、OmniOutlinerでは「巻き上げ」、OPALでは「フォーカス」と呼ばれている機能で、現在選択しているトピックを一時的に最上位階層として表示させる機能。

ひとつのドキュメントのアウトラインを作るのではなく、一本のアウトラインに複数のドキュメントを入れ込むような使い方をする場合に欠かせない機能で、個人的には「真のアウトライナー」の条件のひとつと思っている。

※ちなみにOmniOutlinerでの「巻き上げ」という機能名は英語版の「Hoist」から来ている。これは元祖・アウトライナーであるThinkTankMOREで使われていた名称。その意味で最も伝統的ではあるけど、正直言ってわかりにくい。「フォーカス」や「ズーム」の方がはるかにイメージに近い。

WorkFlowyを勧めてくれたCube(@simplesynthesis)さんの言うとおり、このズームするときのUIが、素晴らしい。何が起こっているのか直感的にわかるアニメーション。そして、何階層も深いところでズームしたときに、現在の階層がいわゆる「パンくずリスト」状に表示されること(ズームの道筋みたいなものですね)。おそらく今までの同種の機能の実装の中で最高のものだと思う。

そしてもうひとつは柔軟なタグの使い方。トピックの中に「#」で始まるハッシュタグを書き込んでおき、後からそのタグをクリックすることでタグのついたトビックだけが表示される(そのアニメーションも素敵)。

これは、アウトライン上の離れたところにあるトピックを一箇所に集めたりしたいときに、集めたいトピックにタグをつけておいてから表示を絞り込み、特定のトピックに下にまとめて動かす、なんていう使い方ができる(MOREではそのために「マーク」と「集合」という独立した機能があった)。

GTD的なことをするのであれば、「#waiting」みたいなタグを使って「連絡待ち」の項目にマークをつけておくとか、いくらでも工夫できますね。

これらは小さなことみたいだけど、アウトライナーのUIにもたらされた久しぶりの意味ある進歩だと思う。

そしてもちろん、WEBベースであるということ。

自分のような会社員にとっては、私物のマックと職場のPCで同じアウトラインを開き、編集できるというのは、本当に本当にありがたい(だって、どんなにOPALやOmniOutlinerがいいといったって、シゴトには使えなかったんだから)。

だからWEBベースのアウトライナーはずっと探していたけど、今まで試してみたものの中では本気の使用に耐えるものはひとつもなかった。ワイナーのFargoがそのはじめての例になったんだけど、残念ながらiPhone上では動作しない。なのにWorkFlowyにはiOS版のアプリまであるのだ。

そんなわけで、シゴト用は即座にWorkFlowyに全面移行。数日のうちに、ミーティングとかのメモとか手順を考えたりするだけじゃなく、メールの文面までWorkFlowyの中で書くようになった。感謝。



そしてこの週末に挑戦したのが、プライベート用のアウトライン、つまりこのブログやRenji Talkの記事を書いたり、レオの翻訳に使ってるアウトラインを、WorkFlowyに移行できるかどうか。これができれば、全面的にOmniOutlinerからWorkFlowyに乗り換えてしまうことになる。

機能の豊富さという点では間違いなくOmniOutlinerだけど、もともとぼくはOmniOutlinerをミニマル設定で使っていて、ごく一部の機能しか使っていない。それよりもポイントになるのはアウトライン、そして文章を操作するときにどれだけ使えるか。

で、結論からいうと、全面移行するには至らなかった。以下がその理由。

そもそも数千トピックの巨大なアウトラインを、WorkFlowyにインポートできなかった。ま、それはそうじゃないかなとは予想してたので慌てず騒がず、数本のブログエントリの編集と、レオの訳に使ってみた。

まずアウトライン操作に関して物足りなく思ったのが、OmniOutlinerでいう「グループ」機能がないこと。

「グループ」は、あらかじめ選択しておいた複数のトピックを一気に新規トピックの下に括ってしまう機能。ボトムアップ的なアウトライン操作をするときに、非常にスピーディな上に直感的で、流れを阻害しない。今回、この機能に自分がかなり依存していることに改めて気づいた。

まあ、これは例のハッシュタグの使い方を工夫することで、ある程度代替できるかもしれない。

決定的だったのは、アウトライン操作ではなく「文章」を書くことに使ってみたときの違い。

WorkFlowyは「文章エディタ」としての機能が弱い。というよりも、「文章エディタ」として振る舞ってくれない。この点に関しては、OmniOutlinerが圧倒的に優れている。

具体的にいうと、WorkFlowyはトピック間でカーソルキーを上下移動したとき、カーソルがトピックのアタマに飛んでしまう。これが著しく直感性を損なう(プレーンな状態のEmacsを使ったときの違和感みたいだ)。

たとえばある行の10文字目からカーソルを上に移動したときは、前の行の10文字目に飛んでほしい。OmniOutlinerでは、トピック間のカーソル移動はごく普通のテキストエディタを使っているのと同じ感覚で自然に使える。

それから、WorkFlowyではトピック単位の「移動」はできるけど、「単純なコピペ」ができない

OmniOutlinerでもOPALでも(そして同じWEBベースのFargoでも)、複数のトピックを選択してまとめてコピー→ペーストすることができる。ごく普通のテキストエディタと同じ感覚だ。トピック単体ではもちろん、折りたたんで下位階層が隠れた状態のトピックであっては、下位階層も含めてコピペすることができる。

アウトライン全体を編集するだけでなく、文章の細部に入り込んで編集しようとするとき、この違いはとても大きい。

ぼくはアウトライナーはロジックとレトリックを同時に操作するもの、だと考えている。

WorkFlowyはアウトライン、つまりロジックを操作することにかけては本当に健闘しているけれど、末端のレトリックまでアウトラインの中で操作するには限界がある(できないことはないけど、そのための機能は単なるテキストエディタ以下だ)。

これはWorkFlowyが本質的に「リスト」作成を意図したもので、「文章」作成のためのものではないということを示している。なんといってもキャッチコピーが「Make Lists. Not War」だからね(Make Love, Not Warのもじりですね)。



そんなわけで、今回はWorkFlowyへの全面移行は見送り。

とはいえ繰り返すけど、WorkFlowyはWEBベースのアウトライナーとしては間違いなくナンバーワンだし、多くのデスクトップアウトライナーよりも優れている。今日的で直感的なUIという点では、OmniOutlinerも超えている。

これからアウトライナーを使ってみようという人に迷いなく勧められる。これは画期的なことだ。

驚くべきことに「誰にでも迷いなく勧められる」アウトライナーが存在したことなんて、これまで一度もなかったんだから。
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Evernoteとアウトライナーの至福の連携 [アウトライナー]

昨日の記事が結果的にEvernote批判みたいになってしまったので、今日はもうちょっとポジティブな話を。

Evernote Web ClipperでウェブページをEvernote内にクリップしておいて、それを丸ごと「標準テキストに変換」できるというのはすごく便利。

この機能はEvernoteのデスクトップアプリに最近追加された機能で、これができるようになってからEvernoteの利用度が一気に上がった。

なぜならテキストに変換した瞬間、その文書の内容を簡単にアウトライナーの中に取り込めるから。コピペすれば同じじゃんと思うかもしれないけど、テキスト変換した後も、原文の出展(タイトルやURL)が「ノート情報」の中に常に維持されてるということが違う。

自分の使い方でいうと、レオやワイナーの記事の翻訳は、
  1. 訳したいと思ったページをWeb ClipperでEvernoteに取り込む
  2. Evernoteの中で「標準テキストに変換」する
  3. OmniOutlinerのアウトラインに貼り付ける
  4. 原文を段落ごとに訳していく
  5. 全部できたら原文を消す
  6. Jeditで整えてポストする

という流れになっている。作業フローとしてすごく自然なのと、訳文として載せる際に、原文情報がきちんと残ってるので安心できるのがいい。



このWeb Clipper→Evernoteでテキスト変換→アウトライナーに取り込んで加工という流れって、工夫次第でいろんな使い道が考えられる。

たとえば「勉強」(特に人文系の)。

アウトライナーは、実は「読む」ために使うとものすごく強力だ(こちらに詳しく書いてるので興味のある方はどうぞ)。

アウトラインの中に資料を取り込んで、どんどん見出しを立てていくと、資料の内容と構造を楽に理解することができる。それだけじゃなく、勝手にいろいろ組み替えてみると、別のロジックが成立することに気づいてしまったりすることもある(脱構築!)。

欠点は、読みたい資料をアウトライナーの中に取り込むことが簡単ではないこと。

でも、ことWEBにある情報については、クリップしてきてテキスト変換してしまえば、そのままアウトライナーに貼り付けていかようにも加工できる。

そしてここで重要になるのが、いくらバラバラに切り刻んでも、Evernoteに戻れば原文の出展が「ノート情報」の中に常に維持されてるということ。

ひと手間かけて、OmniOutlinerでカラムをひとつふたつ追加しておいて、原文を貼り付けた全ての行ごとに出展を入れておけば、なお完璧(これはOPALやFargoではできない。OmniOutlinerやNeOのようなカラム機能を持つアウトライナーが必要だ)。

これで各パーツの出展がわからなくなる心配はない。心置きなく知識を自由に切り刻み、組み替えて検討できる。

至福。



もちろん、そうは言ってもここでの話はWEBで公開されてる情報に限定されている。

でも、体系的に勉強したい分野の資料を、全部一本のアウトラインに取り込んでしまえたら、特に人文系の「勉強」の可能性ってすごく広がるんじゃないか、ということを想像はさせてくれる。その可能性の一端を垣間見せてくれる。

そういう目でみると、EvernoteとかアウトラインとかWEBとか電子書籍とか自炊とか、そういうものがまた違って見えてくる気がする。
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アウトライナー・フリーク的Evernote論 [アウトライナー]

自他共に認めるアウトライナー・フリークだけど、ときどきアウトライナーから離れてみることがあって、そのたびに「アウトライナーとは何なのか」ということを考えさせられる(ヒマなのか・・)。

たとえば仕事で「可能な限り紙を使わない」ことに(勝手に)決めたせいで、Evernoteを今までより多用することになった。で、慣れるためもあって、しばらくの間あらゆることに(ブログを書くことも含めて)意識的にEvernoteを使うようにしていた。

以下は、その結果わかってきた、あくまでもアウトライナー・フリーク的視点から見たEvernoteの話。



たとえば頭に浮かんだことを片っ端からEvernoteに放り込んでいく。それをキャッチするポテンシャル自体は、アウトライナーに次々とトピックを立てて放り込んでいくのと変わらない。

なんと言ってもその作業がマックからでもiPhoneからでも(その気になったら職場のPCからでも)できるというのは、たとえばOmniOutlinerやOPALみたいなデスクトップ型アウトライナーにはない利点。

いいね。と、最初は思うんだけど、徐々に失速してくるのね。

良くできたアウトライナーに入れたテキストの断片は、互いに結合・離反しながら成長していく感覚があるんだけど、Evernoteはそうならない。作ったノートが育たず死蔵されてしまうケースがアウトライナーよりも多い。

それはやはり、ノートの記述内容がノート内で完結していること、そしてノート自体の並び順を意思を持って変えることができないことと無関係ではないと思う。

※そして恐ろしいことに妻はブログを読んで「最近アウトライナーを使ってないのがわかった」という。

ランダムに発生する出来事(記憶)を全て記録して、後で見つけられる(利用できる)ようにするというのがEvernoteの思想だ。

もちろん後で利用するためには、記録・蓄積するだけでは充分ではない。Evernoteが示した回答はノートブックとタグ、そして強力な検索機能(後になってノート同士のリンク機能も追加された)。その結果、大量のノートの海の中から探している情報を取り出すことができる。

しかし、それはあくまでも記録したものを「引き出している」だけだ。

現実世界で細かい記憶のピースを有効に利用するためには、何らかのロジックまたはレトリックの中にそのピースを組み込み、位置づける必要がある。どれだけ検索が優れていても、それだけでは不足なのだ。

そして「ロジックやレトリックの中にピースを位置づける」作業こそ、アウトライナーが最も得意とする作業だ。

実際、このエントリも四つの独立した新旧のトピックがアウトラインの中で結合したものだけど、Evernoteの中ではそれは起こらなかった。

「ノートのマージ」や「ノートのリンク」では、ノート同士が結合し、組み替わり、科学反応を起こして発火するようなダイナミズムは生まれないのだ。

もちろんEvernoteがダメだということではない。Evernoteは(Evernote自らが宣言している通り)記憶のための道具であり 、アウトライナーは思考のための道具というだけだ。

実際、記憶のための道具としてのEvernoteは(今さらぼくなんかが言うまでもなく)極めて優れている。シゴトでも生活でも、既にEvernoteなしではやっていけないくらいになっている。



だけど、とここでまた疑問。

どうして同じ知的活動であるはずの〈記憶〉と〈思考〉とで道具のカタチが違うんだろう? 〈記憶〉は〈思考〉を誘発し、〈思考〉した結果は〈記憶〉されるはず。

Evernoteのノート一覧をアウトラインとして利用できたら(だって、左側に表示されるノート一覧、折りたたみできるアウトラインのカタチになってるじゃん)。そして、ノートエディタ自体がシンプルなアウトライナーになってたら。

それはアウトライナーフリーク的妄想ではあるけれど、でもその方がずっと自然な気がする。
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レオ・バボータ「生活を編集する Part3:収納」 [レオ・バボータ関連]

レオ・バボータ「生活を編集する Part3:収納」を公開。初期Zen Habbitsより「Edit Your Life, Part 3: Closets and Drawers」の日本語訳です。
前回は部屋を編集する方法についてだった。散らかった雑多なモノを取り除き、必要なものだけを残すことだ。前回は、クローゼットや引き出しなどは取りあえず後に回し、目に見える部分だけにフォーカスすることを提案した。その理由は、クローゼットや引き出しまで全てをいっぺんにやろうとすると膨大な作業量に圧倒されてしまうかもしれないからだ。目に見える部分だけにフォーカスすれば、かける時間を最小限に抑えつつ、大きな違いを感じることができる。

今回は、直接目に見えない部分にフォーカスしよう。どんな部屋にもクローゼットや引き出しなどの収納スペースがある。そうしたスペースは、何かをしまったきり忘れてしまうということを長年繰り返すうち、容易にゴミが蓄積しやすい。目から去るものは心から去るという。確かにそうだ。それでもクローゼットや引き出しを開けるたび、中のゴミや不要物を意識しなければならない。だから、収納スペースをシンプルでストレスフリーな場所にしよう。
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FargoからWordPressにポストする機能 [アウトライナー]

少し前から、FargoのアウトラインからWordPressに直接ポストする機能が公開されている。今後、他のCMSにも対応する予定とのこと(Tumblrとかだろうか)。

その様子をワイナー自身が動画で説明している。詳細は元記事を参照してほしいけど、見てるだけでだいたいわかると思う(そして、アウトライナーのいろんな可能性を感じられると思う)。



Scripting Newsの元記事はこちら。
The Fargo-WordPress connection

元記事のコメントへの回答にも書かれているけど、あくまでも記事をポストするための機能であり、サイト全体をアウトラインとして管理するという趣旨ではないので、既存のWordPressブログを読み込む機能はない。もちろん動画にもある通り、一度Fargoからポストした記事をFargoの中で修正して再投稿することはできる。

ぼく自身はWordPressを使ってないので、今のところ試せてないんだけど。

※ところで動画のカテゴリーが「コメディー」になっているのは・・?
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アウトラインは思考言語なのだ [アウトライナー]

めずらしく、同僚とファミレスでシゴトについて議論していた。

話した内容をその場でアウトライナー(ここではワードのアウトラインモードを使った)に打ち込んで整理していった。

ランダムに話した内容が、見ているそばから気持ちいいくらいクリアに整理されていく。その同僚とは普段から特に仲がいいわけじゃないけど、それでも二人で議論した内容は整理してみるとなかなか素晴らしかった(同僚もそう言っていた)。

あらためて、アウトライナーの威力を感じた瞬間だった。

でも最後にその同僚は言った。「今テキストで打ったやつをパワポにして送ってよ」

本来アウトラインという形式は、階層レベル・ロジック・レトリックといった、情報を伝達するために必要ないろんな要素を最初から含んでいる。形式自体がメタ情報になっていると言ってもいい。

でも、アウトラインに馴染んでいない人にとっては、アウトラインは単なる「テキストのベタ打ち」にしか見えない。

アウトラインというのは、一種の思考言語なのだ。

うむ。
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