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夢を捨てろ、欲望を持て [マンダラート]

「目標を捨てろ」とレオは言ったけど、個人的には「夢も捨てろ」と言いたい。



夢を持つことは素晴らしいことだという考え方があって、もちろんそれは悪いことじゃないけど、誰もが夢に向かってがんばるべきだと言われると、なんだか暴力的な感じがする。

そこで言われてる「夢」って、多くの場合すごく狭くて不自由なものだ。言ってみれば、手帳に書き込んで、実現のためのステップを記述できるようなものだ。

何かの課題で、自分の「夢」を書き出している学生たちを見たことがあるけど、実質的には「将来就きたい職業」について考えてただけだった。

うまく書けなくてじたばたしてたけど、夢とはこういうものであるべきだという思いこみに合わせようとして言葉を操作してる限り、当たり前だ。

そうやって無理やり言葉で書いたとしても、それはほとんど間違いなく嘘だから、人生を駆動していくエネルギーにはならないし、情熱にもモチベーションにも繋がらない。

その結果、自分には夢がないとか、夢を実現する情熱がないとか思ってるとしたら、かわいそうだなと思う。

そんな夢なら捨てちゃってもいい。



マンダラートの開発者・今泉さんの考え方ですごく共感することのひとつは、人間のエネルギーを引き出してくれるのは「欲望」だと明快に言い切ってしまっていることだ。

今泉さんの著書やマンダラートのマニュアルで昔からおなじみの「欲望マンダラ」というのがある。人間にはどんな欲望があるかというのをマンダラにしたもの。

欲望マンダラ

生命欲・・・いつまでも若々しく健康でいたい
知識欲・・・もっと知りたい、納得したい
性愛欲・・・モテたい、愛したい、愛されたい
交流欲・・・友人や仲間が欲しい、人恋しい
食欲・・・旨いもの、旨い酒
顕示欲・・・プライド、認められたい、独占欲
物欲・・・モノやカネが欲しい、リッチな生活がしたい
創造欲・・・何か創りたい、モノを創る喜び、完成させる喜び

昔のマンダラート手帖のマニュアルから引用。
人間の欲望こそが、文化や文明を育んできたエネルギーだった。

欲望をコントロールし、美しいカタチに創りあげていくことが、文化を形成してきたのです。さて、あなたはどんな欲望があるか?
(中略)
この欲望マンダラをどう展開するかが、あなたの生活なのです。

何かに対して強い燃えるような欲望を持つことを、情熱とか熱意という。これが持てれば、人間、何をやっても成功するといってもいい。どんなことがあろうとも、ねばり強く、持続したエネルギーをそのものにぶつけていけるからです。

ではどうしたら強い欲望を持つことができるか、これが難しい。強い欲望を持つ、あるいは持ち続けることは、案外と難しいものです。そこでモチベーションを引き出し、高める工夫が、必要になる。

改めて、欲望を知ることから始めるしかないのです。あなたには、どんにな欲望があるのか、それを書き出してみてください。そして、これらの欲望は、どうすれば達成できるか。1つ1つの欲望を、さらに具体的に展開してみることです。

Mandal-Art手帖マニュアル version IIIより

この欲望マンダラを何の制限もなく本当に素直に展開してみると、きっとその力に驚く。振り返ってみると、何年かに一度それをやってるんだけど、そのたびに驚く。

「欲望」だから当然、間違っても人様に見せられるようなものではない。

でも、書き出されたそれを自分で眺めたときの高揚感というのは、自己啓発的な意味での「目標」や「夢」を書き出したときの比ではない。

考えてみれば当たり前だ。だって「欲望」ってモチベーションそのものなんだから。この経験をするだけでも、マンダラートを使う価値がある、と個人的には思う。

ちなみに、何の制限もなく素直に書き出してみた欲望を後から分類すると、自分はどうも「性愛欲」と「生命欲」と「創造欲」がとても強いみたいだというのが今回の発見だった(笑)。



マンダラート的には、その1つ1つの欲望を成就させるには、具体的に何をすればいいのか展開していくことになる。

だけど、誤解しないでほしいのは、書き出したどろどろの欲望をそのまま実行したり表現したりするわけじゃないということだ。今泉さんも言うように「この欲望は、人間としての美学に裏打ちされなければならない」。

そしてたぶん、他人の領域を侵さないことと、一個人のスケールを逸脱しないこと。そのバランスが取れている状態を、個人的に「健全な欲望」と呼ぶ。

そこを抑えた上で、欲望を展開して現実の行動に落としていく。

たとえば「性愛欲」が、いくら「健康のため」と言われても決して身につかなかった「毎日運動をする」という習慣を身につけさせてくれる原動力になったりする(めんどくさがりの自分が、毎晩腕立て伏せと腹筋を続けられる原動力は、実は「性愛欲」なんだという発見を今回したわけです)。

こういうことに気づかせてくれるのも、マンダラートが単なる手法に止まらない、生活哲学を含んだものだからだ。

ということで、マンダラートに興味を持った人は、ぜひiMandalArtアプリを使ってみてほしいけど、そうでなくても人間の行動を本当に駆動するのは「欲望」なのだという視点は大切だと思う。

たぶん、夢も目標も貢献もリーダーシップも絆も、欲望と結びついているからこそ機能する。

2014年1月3日追記:
iMandalArtは提供元の事情により販売が終了しています(残念)。
現在、後継となるマンダラートアプリの開発を行っていることがアナウンスされています。

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コメント 2

gofujita

欲望マンダラ、やってみました。夢じゃなくて、「yokubou」とするだけで、自分の心がこれだけ良く見えてくるとは..。すごい。
by gofujita (2012-10-02 07:42) 

Tak.

>gofujitaさん
書き出した「欲望」を眺めてるうちに、その「欲望」とは直接関係ない物ごとに対するモチベーションが上がってることに気づいたりします。欲望って、たぶん生命力と直接繋がってたりするものなんだと思います。
by Tak. (2012-10-04 01:44) 

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