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プロセスを共有することに向かない人の共同作業 [Thoughts]

共同作業というと、いっしょに何かをつくること、プロセスを共有することと捉える人が多い気がする。

でも、世の中にはプロセスを共有することに向かない人間もいることを、ぼくは知っている。なぜなら自分がそうだから。

何かを作るときに、人と同じ道筋を通ることができない。人に合わせようとすると、あるいは特定の道筋を強制されると何もできなくなる。人と協力しながら何かを作るということがうまくできない。だいたいは全面的に人に合わせるか(ストレスたまる/力出せない)、一人で突っ走るか(嫌われる)のどちらかになる。

そんなタイプ。

でも、だからと言って自分は人との共同作業に向かないと、諦める必要はない。

プロセスを共有することに向かない人は、ひとりで何かを創り、そのアウトプットを共有すればいい。

その場合のアウトプットは、完成品である必要はないけれど、プロセスの途中段階(つまり「やりかけ」)ではなく、いったん形になったものがいい。自分の意思とその結果を形で示せるような。

プロセスは個人で行い、人にはその結果(アウトプット)を提示し、意見を求め、次のアウトプットに反映する。あるいは同じジャンルの他の人のアウトプットを踏まえ、別のアウトプットにつなげる。

これだって、立派な「人との共同作業」だ。

もちろん、それは口で言うほど簡単なことではない場合もある。世の中の、特に組織の中で共同作業をリードする立場の人は、たいていプロセスを共有することに長けた人だ。仲間と議論を交わしながらいっしょに考えることができる人だ。

でも、プロセスを共有できない人だという自覚があるなら、自分は使えない人間だと悲しい気持ちになったりする前に、「プロセスではなくアウトプットを共有する」方法がないか、考えてみる余地はある。

仮に今いる場所がそのようにできていなくても、アウトプットする場所や方法は現代ではいくらでもある。

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『「箇条書き手帳」でうまくいく はじめてのバレットジャーナル』 [書評・書籍紹介]

バレットジャーナルに興味がある人に待望の本、『「箇条書き手帳」でうまくいく はじめてのバレットジャーナル』(Marie著)が明日(10月13日)発売です。

バレットジャーナルは、ライダー・キャロル(Ryder Carroll)氏によって開発された、アナログノートを使ったスケジュール管理・タスク管理のシステムです。

公式サイト:Bullet Journal - The Analog System for the Digital Age

「バレット」とはbullet。元の意味は「弾丸」ですが、箇条書きの頭の「・」などの記号のことです。だから「箇条書き手帳」なんですね。

いわゆる手帳術ですが、「紙の手帳に箇条書き」という言葉の響きからは想像できない、非常に奥の深いシステムです。タスク管理・スケジュール管理だけでなく、個人の生活の驚くほど広い範囲を扱えます。

『「箇条書き手帳」でうまくいく はじめてのバレットジャーナル』(以下「本書」)は、このバレットジャーナルの入門書です。



実は本書を献本でいただいたので、発売日前に読むことができました。
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著者のMarieさんが、セルフ・パブリッシングのKindle本『ちいさなくふうとノート術:ごちゃごちゃの頭を整理して楽しく暮らす私のノートの使い方』を執筆される際に、『アウトライン・プロセッシング入門』を参考にしていただいたからとのことです。

※ちなみに本書は大幅に改訂・増補されて、『ちいさなくふうとノート術』とはまったく別の本と言っていいものになっています。

Marieさんのブログ「Mandarin Note」はずいぶん前から知っていたし(語学学習で有名なブロガーさんという認識でした)、『ちいさなくふうとノート術』も素敵な本だったので、素直にすごく嬉しかったです。こういうことがあると、なんというか、ブログ書いたり本書いたりしてよかった、と思います。



本書の目次構成は以下のようになっています。
Prologue バレットジャーナルは、私の人生をよくしてくれる相棒
第1章 バレットジャーナルの作り方、始め方
第2章 私は、こんなふうに使っています
第3章 つくると便利な「コレクション」アイデア集
第4章 みなさんのバレットジャーナル、見せてください!
Epilogue バレットジャーナルをはじめて、いちばん私が変わったこと
さらに詳細な目次はこちら

バレットジャーナルの基本は、第1章で説明されています。公式サイトで解説されている内容のエッセンスが凝縮されています。これだけでバレットジャーナルを使いはじめることができます(もちろんノートとペンを用意してね)。

第2章では、上記基本を踏まえた上でのMarieさん自身の使い方が解説されています。このパートが何とも魅力的です。

バレットジャーナルの魅力のひとつは、(ハードがプレーンなノートなので)自由にカスタマイズできるという点です。この章では、Marieさん流のカスタマイズした使い方に触れることで、その魅力を感じられます(何にしてもカスタマイズ、パーソナライズっていいものです)。

特に「例」がリアルです。読者が、自分の生活の中にその手法やツールを組み込むことの期待が膨らんでくるような、生きた例です(これ、実際に書く立場でいうと、すごく手間と根気がいるのです)。

バレットジャーナルを使うことで、Marieさん自身がどんな影響を受け、生活がどう変わったかの記述がこれに加わることで、Marieさんという個人の生活の中にバレットジャーナルが息づいていることが感じられます。

ページがカラーであることと、狩野直子さんによる魅力的なイラストもこの部分の魅力を高めています。

第3章も、カスタマイズの魅力ですね。「コレクション」というのは、パレットジャーナルの基本モジュール(第1章で紹介されています)とは別に設けられる自由なコンテンツパートです。ここも、さまざまな実例が紹介されています(読書記録、買いたいものリスト、贈りもののログetc.)。自分だったら何を入れよう、という夢が膨らむ部分です。

そして第4章では、Marieさん以外のバレットジャーナルユーザーのさまざまな使い方が紹介されています。これが、ここまで紹介されてきたMarieさんのバレットジャーナルと、驚くほど印象が違うところがいい。ユーザーの個性を吸収する自由度とカスタマイズ性がよくわかります。

自由度が高い手法やツールほど、初心者の導入へのハードルは高くなってしまいがちです。「決まり」が少ないから、どうやっていいのかわからない、これでいいのかわからない、という感覚を抱くわけです。だから、いろんな人がいろんな形で自分の生活の中に組み込んでいる様子がうかがえる、というのはとても重要なポイントです。



そんなわけで、本書は非常にわかりやすく読みやすいバレットジャーナルの入門書であると同時に、いろんな角度からバレットジャーナルの魅力を伝えよう、伝えたいという気持ちが伝わってくる本です(そして、実際に伝わってきます)。

女性をメインターゲットに据えていると考えられる表紙ですが、もちろん男性にもおすすめできます。

そろそろ来年の手帳について考える季節です。バレットジャーナルに興味がある人はもちろん、毎年自分に合う手帳選びに迷う人は、本書でバレットジャーナルに触れてみてはいかがでしょうか。
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