SSブログ

静岡の中心でいつもと同じことをする [Diary]

三連休、三日とも休めたので、静岡まで遊びにいく。ま、旅行というほどの旅行じゃないけど、夫婦で泊まりがけというのは、3年くらい前に松本に行って以来。

やったことはといえば、街をぐるぐる歩き回ったことと、お茶したことと、ごはんを食べたことと、本屋に行ったことと、地元の電車に乗ったことだけ。つまりいつもと同じことしかしてないんだけど、

(1)効率性を無視する
(2)いつもと同じことをする

というのが今回の目的なんで、それでいいのです。

(1)効率性を無視する

新幹線は使いません。東海道線の各駅停車でいきます。

まあ、この歳になって京都まで各駅停車で行こうとは思わないけど、静岡くらいなら充分に許容範囲。

普通電車で横浜から静岡まで約3時間。新幹線の三倍です。でも、たとえば大阪まで行けば3時間弱くらいはかかるわけだから、耐え難いほどの長時間というわけではありません。その上、移動に時間がかかる分、遠くに行った気分が味わえる特典つき!

で、浮いたお金でグリーン車に乗る。

2階建てグリーン車の一階席はいつも空いていて(ほとんどの人は、二階席が好きみたい)気分は貸し切り。座席も特急なみ。そして、東海道線のグリーン車にはモーターがついてないので、すごく静か。新幹線よりはるかに快適です。

お弁当もゆっくり食べられる。新幹線だと1時間くらいしか乗車時間がないから、弁当のフタを開けてる間に着いちゃうのよ。

在来線各駅停車なら、そろそろ景色が良くなってきたところでお弁当あけて、ゆっくり食べてドトールで買ったコーヒー飲んでも、まだまだ時間はあります。

ちなみに行きのお弁当はアンデルセンのデニッシュとサンドイッチ。帰りは静岡の松坂屋で買ったうなぎ弁当。お弁当まで含めた総額でも、新幹線普通席とほぼ変わらない。

残念ながら東京発静岡行きという列車はほとんどなくて、熱海で乗り換えなければならないんで、熱海から先は普通車なんだけど(熱海始発はグリーン車が連結されてない)、そこはそれ、ローカル感を楽しむのです。

(2)いつもと同じことをする

いつもと同じこととは、街を歩くことと、本屋に行くことと、お茶を飲むことと、電車に乗ることです。

◆歩く。

着いたらもちろん、歩く。とは言っても、初日は雨だったので(というか豪雨だったので)二人とも濡れながらだんだん不機嫌になっていったわけですが。

それはそれとして、街を歩いてて思ったのは、中心地にも個人の経営する店が多いということ。商店街をちょっとはずれると、個人経営のレストランやカフェや雑貨屋がけっこうたくさんある。

これは、パトリス・ジュリアン氏の店にいた方のやっている「PEPIN」というビストロ。
IMG_0440.jpg

かなりの規模の都市にも関わらす、中心地に近い立地で個人がお店を出してがんばっていける余地がまだあるんだろうな。

そして、たぶん同じ理由で、商店街がまだ生きている。もちろんそうじゃない商店街もあったけど、少なくとも呉服町通りはちゃんと生きている。

面白いのは、呉服町通りには、昔ながらのアーケード商店街の雰囲気と、いわゆる若い人が遊ぶ場所が混在していること。若いやつらとおじさんおばさんが同じ場所で遊んでる。そして、おしゃれ男女と非おしゃれ男女も同じ場所で遊んでる。決して悪い意味ではなく、その混在感になぜか豊かさを感じたり。

その理由を考えてたんだけど、もしかすると、今の首都圏みたいに、地域全体がひとつのコンセプトのもとに再開発された企画書くさい店と街並みに辟易しているからかもしれないし、気に入っていた大切な場所を次々に奪われていく感覚があるせいかもしれない。少なくとも静岡の街並みからは、そうした印象は受けなかった。そして、にもかかわらず、ちゃんと活気がある。

あくまでも一日二日で表面を見た感想にすぎないし、今年完成したばかりの葵タワーとか、しずてつの新静岡駅周りの開発とか、をみていると、もしかするとそれもあと数年で変わっていくのかもしないけど。

◆お茶。

一通り動き回ったらお茶します。

ぼくは自他ともに認めるスターバックス好きですが(分煙と禁煙の差は大きい)、スタバならどこでもいいというわけではない。というか、テープルの配置に余裕があって、外の景色がきれいで静か、という条件を満たすところは本当に少ししかありません。

でも、 スターバックス静岡呉服町通り店は、間違いなく今まで入った中でも最高峰です。ちょっと不思議な形の中二階がある立体的なつくりで、二階には大きな窓がある。首都圏のほとんどの店よりも席の配置がゆったりしていて、日本上陸直後のスタバ(まだ、特別なものだった頃)を思わせます。

もし静岡に住んでたら、毎週土日の午前中は本とマックと音楽を持ち込んで、ここで過ごすに違いない。

◆本屋。

本ということでいえば、予想に反して静岡は本屋の充実度が素晴らしい。大学がいくつかあるせいかもしれないけど、はっきり言って、横浜なんかよりはるかに上です。

静岡駅のそばにオープンしたばかりの葵タワーにある戸田書店が規模としては大きくて、都心の大型書店に負けないレベルだと思うけど、もっと気に入ったのは呉服町通り沿いにある谷島屋書店。

昔ながらの地元の本屋さんの体裁ながら、一般書から工学書、芸術書、思想哲学書まで完備。そして棚の作り方に愛情がある。

横浜では有隣堂本店の改装とともに死に絶え、都内でも少なくなった昔の独立型大型書店の雰囲気が残っている。

大型商業施設の中の本屋ではなぜかしない、本屋特有の匂い(あれは、何の匂いなんだろう。もしかしたら換気設備の問題?)もちゃんとする。

もしここに住んでたら毎週土日の午前中にマックと音楽と一緒にスタバに持ち込む本はここで買うに違いない。

とはいえ、葵タワー戸田書店の圧倒的な品揃えと立地の良さからすると、これから先、どこまでこのレベルを維持できるのかは難しいところかもしれない。でも、がんばってほしいな。

◆電車に乗る。

純粋にTak.の好みにより、静岡鉄道・通称しずてつに乗って清水まで行く。

実はしずてつに乗ることが長年の夢でした。子どもの頃、しずてつの車両(1000系)の写真を見て、ステンレス製の、クールでありながら、愛嬌のあるかわいらしいデザインに一目惚れして以来。

素敵でしょ? マグロ祭りは別として。
IMG_0441.jpg

東急と資本関係があるためか、昭和40年代末から50年代にかけて、東急車輌から購入したのがこの車両。当時東急でも使用していた7200系とほぼ共通デザインで、まさにぼくが大好きな、古き良き東急デザインそのものです。ただし、この秀逸な正面顔は、しずてつオリジナル。今となってはかなり古い車両なんだけど、ぜんぜん古くさい感じがしない。

そして、乗ってみてその気持ちのいい走りっぷりに驚く。

まず本数が多い。地方の私鉄というイメージとうらはらに、日中も数分感覚で運転され、ほとんど待つことがない。終点の新静岡でみていても、電車が入ってきて乗客をはき出し、あっという間に折り返していく。

走り方はきびきびしていて、駅を出ると一気に加速して、ぎりぎりまでスピードを維持して、駅ではきゅっと止まる。速度自体はそんなに速くないんだけど(せいぜい80キロくらい?)乗っててイライラすることがない。

「デザインがいい」「待たない」「乗っててイライラしない」というのは、毎日乗る電車としてとても大切な条件です。

惜しいのは、ターミナルの新静岡、新清水ともJRの駅から遙か遠くに離れていることだけど、それは仕方ないよな。

ところで清水まで行って何したかというと、清水港までぷらぷら歩いて、三匹の猫に会い、それからまたしずてつで帰ってきただけ。



そんなことをして何が楽しいんだという人がいるかもしれないけど、楽しいです(笑)。

そして、これはいつも思うことだけど、いつもと同じことをすることで、観光地を巡ったりするのよりもずっと土地の空気が体にしみこんできます。

静岡でしみこんできた空気は、なかなか好ましいものでした。今度はもう少し時間をかけて(そして晴れてるときに)行ってみたい。たぶん、もう一度行くと思います。
コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

コメント 2

おかちん

静岡生まれで最近は殆ど静岡在住の埼玉県民です。
一昔前まで、新静岡、新清水とも静岡駅前、清水駅前を経由する
市内線(路面電車)が走ってました。
ご多分にもれず、車の邪魔だってことで廃線になり、
専用軌道だった今の静岡清水線だけが残った次第です。
ただ、静岡市南北の公共交通はバスしかないのに、車が溢れる
狭い道路に結構な本数を走らせてるため遅れまくり…。
路面電車復活を!って議論が出てるのに期待したいです。
あと、スタバ呉服町店、私も好きです。あのでっかいソファは
最近なかなかお目にかかれないですからね。

by おかちん (2010-11-24 02:39) 

Tak.

おかちんさん>静岡って、規模的にも風景的にも路面電車が似合うと思うんですよね。ぜひ復活してほしいです。
by Tak. (2010-11-25 00:33) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0