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言葉のお墓 [Diary]

10年くらい前、一度も会ったことのない女の子とメールのやり取りをしていた。

彼女がネットで公開していた日記(まだブログなんてものが一般化する前の話)をたまたま読んで、そのとき「体調が悪い」と書いていた彼女の症状に気になるところがあって「ちゃんと病院に行ってください」というメールを出したのがきっかけだったと思う。

一時期かなり頻繁にやり取りするようになったけど(「これほど頻繁にやり取りしても電話番号を教えろとも、会おうとも言ってこない人はめずらしいと言われた)、その時期ぼくは自宅で仕事をしていて、一日中自分のPCの前に座っていたので、メールを出しやすかったんだと思う。

でも、ぼくが今の職場に移った2004年頃を境に、自然に疎遠になっていった。そしてちょうどその頃、以前使っていたPCのハードディスクがクラッシュして、彼女のメールアドレスも、日記のURLもわからなくなってしまった。

何度か彼女の日記を探そうとしたことがあるけど、見つけることができなかった。確かに覚えているキーワードで検索しても見つからないし、タイトルを入れても見つからない。だから、たぶん日記の公開を止めて削除してしまったんだろうと思っていた。

この間偶然、何年かぶりに彼女の日記を見つけた。といっても「生きている」日記ではなくて、それは2004年で止まっていた。

途中までは読んだ記憶があった。読んでいないのは数ヶ月分だけだった。最後に読んでから数ヶ月後に、日記の更新を止めようだった。今はどうしてるのか全くわからない。2004年を境に彼女は消えて、それまでの言葉だけがそこに残っている。

7年前の彼女の心の痛みとともにずっとそこに残っていた言葉に、あるとき行き当たる。ネットって言葉のお墓みたいなところがある。
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