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手書きの仕事 [Diary]

今関わっているプロジェクトのひどい状況を見かねて、既に何年も前に定年退職したKさんが手伝いに来てくれるようになった。

ずっと昔、前身となるプロジェクトを起ち上げた人で、いわば関係者にとっては「お父さん」みたいな人。

最後は役員だったので、いろんな人が入れ替わり立ち替わりあいさつに来てうるさいんだけど(笑)。

ぼくは直接仕事で関わったことがないので「気のいいおじさん」の印象しかないけど、仕事は緻密で厳しかったということは、話を聞いて知っている。

で、仕事を手伝ってくれるんだけど、当然ながら職場にKさん用のPCはない。スイマセンと言ったら「いらない」と言われた。

「どうせエクセルなんか使えないし、画面で細かい数字なんか見られないから」

Kさんが現役だった時代はエクセルもパワポもなかったのだ。

この間、PCの置いてない会議机の端っこで、Kさんが蛍光ペン片手にじっくりと数字を検討し、その結果と指示をシャープペンシルと定規(!)を使って方眼紙に書いていく様子を眺めていた。

Kさんが愛用していた社名入り方眼紙はもう作られてなくて、総務に残ってる在庫を使ってるんだけど、その黄ばんだ方眼紙に書かれた緻密な資料をみてるうちになんだか興奮してきた。単なるデータ集計と分析の指示書なのに、隅々まで意思と気配りが見えるその豊かさに。

今の自分たちの仕事にはない、やろうとしてもできない、素晴らしい何かが確かにそこにはあるような気がして。

今、自分たちがPCを使ってやってる仕事は、ひょっとしたら手書きの時代から退化してるのかもしれない。

でも同時に思うのは、Kさんがあと20年遅く生まれて、エクセルとパワポを使い、メールを120通受信していたらどんな風に仕事をするんだろう、ということ。

その手書き指示書の写真を撮っていたら、Kさんに不思議そうに「何してるの?」と聞かれた。
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コメント 1

gofujita

かっこいい!

by gofujita (2012-06-17 06:33) 

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