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アウトラインと目次 [アウトライナー]

『アウトライナー実践入門』の中で少しだけ触れ、先日のイベント「夏の知的生産&ブログ祭り」でのプレゼンでもちらっと出てきた、「アウトライン」と「目次」との関係について。



アウトライン・プロセッシングに慣れていない人が、文章を書くためにアウトライナーを使おうとすると、ほとんど必ずと言っていいほど「目次案」を作ってしまう。文章を書くことに慣れている人ほど、そうかもしれない。

でも、いろんなところで書いてる通り、アウトラインは決して「目次案」ではない。そして、アウトライナーで文章を書く作業とは、アウトラインを元に文章を書くことではない。

とはいえ、「アウトライン」と「目次」は見た目上よく似ている(すごーく似ている)。そして、世の中では、「目次案」や「構成案」というものがすでに市民権を得ている。誤解が生じるのも無理はない。

その上ややこしいことに、アウトラインと目次が一致する瞬間も、確かにあるのだ。



「アウトライン」とは、書き手がその上で「考える」ためのものだ。つまり「書き手のためのもの」だ。一方の「目次」は、読み手をナビゲートするためのガイドだ。つまり「読み手のためのもの」だ。

これが両者の違いだ。

アウトライナーの中で、発想の断片は集合離反しつつ成長し、最終的なアウトプットへと育っていく。

このプロセスを「アウトラインの性質」という観点から見ると、書き手のための「アウトライン」から、読み手のための「目次」へと、徐々に接近していく過程と捉えることができる。

頭に浮かんだこと、流れていくことを、アウトライナー上に自由に書き出す。

リスティングし、グルーピングし、ブレイクダウンし、レベルアップし、ソーティングしながら「考える」。思考を形にし、あるいは理解しようと試みる。「アウトライン」というカタチ(そしてアウトラインの折り畳みと入れ替えというアウトライナーの機能)が、この作業の助けになる。

やがて、それを人に伝える段階がくる。形にした思考が人に伝わるように、流れを工夫し、魅力的な語り口を考える。その過程で、アウトラインは書き手が考えるためのものから、読み手の理解を助けるためのものへと変化していく。最後には「目次」と完全に一致するはずだ。

(実際には、読み手のための「語り口」の影響を受けて新しいことを思いついちゃったりするので、この流れは一方通行ではないけれど)



長い文章を書く時、ぼくは作業の前半(発想〜ドラフト)にはWorkFlowyやOmniOutlinerのようなプロセス型アウトライナーを使い、後半はWordなどのプロダクト型アウトライナーを使うことが多い。

これは、上記のプロセスにそのまま対応している。アウトラインが一定以上「目次」へと接近した後に有効なのが、プロダクト型アウトライナーなのだ。そして、この段階でのプロダクト型アウトライナーは、極めて強力だ(信じない人がいるかもしれないけど、Wordは正しく使えば役に立つ)。

(プロセス型アウトライナーとは、「見出し」の概念がなく、階層関係だけで構造を表現するアウトライナー。プロダクト型アウトライナーとは、文書の「見出し」とアウトラインが対応しているアウトライナー。詳しくはこちらの記事を参照)



以上の話は、あくまでもアウトライナーを中心として考えているけど、「書き手が考えるためのガイド」から「読者をナビゲートするための目次」への接近という観点から、いろんなツール(たとえばUlyssesやScrivener)について考えてみると面白いかもしれない。

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