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2000年頃、何もかも良くなる気がしたけど [Thoughts]

2000年前後に、いろんなことが何もかもがこれから良くなっていくような感覚を一瞬だけ抱いたことがあったんだけど、あの感覚はいったいなんだったんだろうと最近よく考える。

日本でもSOHOという概念が徐々に広まり(覚えてますか?)、PCとインターネットの普及で、たとえ勤め人であっても職場に縛られずに働くということが、少なくとも環境面では可能になるつつあった時期。

個人的には当時、もろもろの事情で一度仕事を辞めたあと、徐々に家で仕事ができるようになってきたときだった。

ノマドワークなんていう言葉はまだなかったと思うけど、仕事のスタイルはまさに今でいうノマドワークで、乾電池駆動のNECモバイルギア(懐)をバッグに突っ込んで、家とお客さんとカフェを転々としながら仕事をしていた。

以前勤めていた会社から回してもらった仕事から始めて、つてを辿って少しずつ仕事を広げていったんだけど、自分の仕事に対して会社勤めだった頃にはなかった手応えを感じたこともあったし、実際に仕事の結果を高く評価されることも出てきていた。

自慢じゃないけど、会社員の頃に仕事の内容を評価されたことなんて一度もなかったから、けっこう不思議な感覚だった。自分は別に手に職をもって「独立」したわけじゃなく、状況的にやむを得ず家で仕事をしているだけだったから。

でもしばらくして気づいたのは、子どもの頃からずっと、学校でも会社でも自分につきまとって離れなかった「できると感じるのにできない」「ここまで行けるはずなのに行けない」という感覚を、あまり感じなくなっているということだった。

自分は決して効率の良い人間じゃなくて(知り合いの方はご存じの通り)、相変わらずプロセスはドロドロなんだけど、ドロドロの中から少しずつ形が見えてきて、収束していくプロセスが、会社勤めをしているときとは明らかに違う。

「できる」と感じた状態まで実際にできる、「行ける」と感じる場所まで行けるというのは、自分にとっては夢のようなことなのよ。

その大きな要因は、考えるまでもなく、職場に縛られないで自分のやり方で仕事ができることによるものだった。

縛られるというのは、物理的な場所のこともあるし、仕事の進め方ということもあるし、人との関わりのこともあるし、職場や学校の環境ということもあるし、一言では言えない。

すごくシンプルに言うと、集中できる環境と、手法とプロセスの自由ということになるんだろうけど、たぶんもっと複雑なことだ。

そして、それは具体的にはインターネットとPCというテクノロジーがなければ、自分には手に入らないまま終わるはずのものだった。



とにかく、2000年頃に感じたのはその「これから物ごとは良くなっていく」という感覚の背景には、そんなことがあった。

自分は別に独立ということを意識していたわけではないし、状況が許せば再び就職することに なるかもしれないけど(実際数年後にそうなった)、テクノロジーがこのまま発達すれば、近いうちに会社勤めであっても誰もがこんなふうに自由なスタイルで仕事ができるようになって、そうなればホワイトカラーは今よりもずっと幸せになれるんじゃないかという、そんな単純な希望があった。

でももちろんそんなふうにはならず、場所の自由も手法の自由も手に入らず逆に「セキュリティ」とか「管理」とかの名目で、今までにないほどがんじがらめにされる世界がやってきた。テクノロジーの発達が管理の必要性を高めるという皮肉な世界。



どうしてこんなことを書くかというと、今はあの頃とは全く違う意味で、これからいろんなことが良くなっていくような感覚を感じてるから。周囲のいろんな状況は、あの頃よりもはるかに悪くなってると思うけど。

それは以前のような外的な変化(テクノロジーとか)から来るものではないから、たぶん以前のような失望を味わうことにはならないと思う(実際にいろんなことが良くなるかどうかは別として)。

その感じはまだうまく言葉にはできないんだけど、たぶん希望は外的な環境変化(テクノロジーとか)にはなく、ただ内的な変化を外的な環境変化(テクノロジーとか)で補強することはできる、というような感じ。

て、自分で書いてて意味わかんないけど、たぶんそんなにはずれてないと思う。



ふと思ったんだけど、もしかしたら今、ソーシャルネットワークに大きな可能性を見いだしている人たちの中には、あの頃自分が抱いていたのと同じ種類の希望を抱いている人がいるのかもしれない。

そして、何年かして同じ種類の失望を味わうのかもしれない。根拠はないけど、なんだかそんな気がする。
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