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本当は夏が好きだったこと [Diary]

昨日、午後のにわか雨の後に窓を開けて濡れた地面の匂いをかいでたら、小学校三年生の夏休みにサンフランシスコから二週間ほど一時帰国したときの「日本の夏」の印象を思い出した。

久しぶりの(そしてほとんど覚えていなかった)日本の夏の印象は、ほとんど「匂い」だけで語ることができる。

打ち水や夕立の後の地面の匂いだったり、商店街の果物屋さんの前を通ったときの桃の匂いたったり、デパートの入り口から漏れてくる冷房の冷気の匂いだったり、お寺の本堂の畳の匂いだったり、そこで出てきた砂糖の入り麦茶の匂いだったり、明け方に接近してくる台風とともに運ばれてくる潮の匂いだったり、日陰を求めて入ったガード下のかび臭い匂いだったり、祖父といっしょに行った銭湯の湯の匂いだったり、風呂上がりの祖父の石けんの匂いだったり、銭湯の帰りに立ち寄った喫茶店のかき氷のシロップの匂いだったり、祖父の仕事場にたくさん置いてあった原稿用紙とインクの匂いだったり、盆踊りの屋台から漂ってくる甘かったり香ばしかったりするいろんな匂いだったり、電車の床下から登ってくる熱気と「電気の匂い」だったり。

日本がいかに豊かな場所かということを子供心に初めて感じたのが、このときのたくさんの匂いからだった気がする。

アメリカは、そしてサンフランシスコはすごくいいところだし、今でもときどき帰りたいと思うくらいだけど、こんなにいろんな匂いはしなかった。少なくとも印象には残らなかった。

そして、そんないろんな匂いのことを思い出したら、自分は本当は日本の夏が好きだったんだということを久しぶりに思い出した。
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