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デイブ・ワイナー「ガソリンスタンドの男」 [Diary]

デイブ・ワイナー「ガソリンスタンドの男」。「The guy at the gas station」の全文訳。なかなか素敵な話だったので、アウトライナーとは何の関係もないけど、訳してみた。ワイナーさんのこういうところが好きだ。

あとでどこかに移すかもしれないけど、とりあえずここに載せておきます。


メンローパーク市のサンドヒルロードとシャロンパークロードの角に、ガソリンスタンドがある。私はシャロン・パークに住んでいたことがあり、ほとんど毎日そのガソリンスタンドの横を通っていた。当時私はマルボロライトを少なくとも1日2箱、日によってはそれ以上吸うスモーカーでもあった。カートンは買わない主義で、それはその方が本数を意識できると思ったからだが、成功したとは言えなかった。タバコを売っているガソリンスタンドは家から数ブロックのところにあって、車で2分もかからない。「マルボロライトを2箱」、それは当時の私が1日に最低一度は口にする台詞だった。それ以上口にする日もあった。

ある日そのガソリンスタンドにタバコを買いに行った。しかし、カウンターの男は私の声が聞こえないのかタバコが見つからないのか、動こうとしなかった。私は少なくとも3回は「マルボロライト2箱」と言ったはずだ。彼は汗をかき、本当に混乱しているようだった。最初、私はこれを軽蔑の表現と受け取った。怒りがこみ上げてきた。しかし私はそれを表に出さないよう努めた。望みが叶わないまま永遠とも思える時間が流れた後、何かが私の意識を打った。「この男は苦しんでいる」。それは「この男は私を苦しめている」とは非常に違う感覚だ。問題は彼にあるのではなく、私にあるのでもない。彼は問題を抱えているが、それは私とは無関係だ。私は深呼吸し、微笑み、そして待った。やがて彼はマルボロライトを持ってきてくれた。私は代金を払った。私は微笑み「良い1日を」と言った。

彼も笑顔になって、申し訳なかったと言った。気にするなと(あるいはそんなような意味のことを)私は言った。そしてもう一度微笑み、店を出た。

人との関係(友人のこともあるし、店や地下鉄や空港で出くわした人のこともある)の中で苦しい状況に陥ったとき、その日のことを思い出す。この人は与えられた状況の中でベストを尽くそうとしている。そしてそれが何であれ私とは無関係な事情で、問題を抱えている。その問題を少しでも軽くしてあげたいと思う。

この話のポイントは——何もない。ただ、そろそろ書いてもいいかなと思っただけだ。

良い1日を!
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